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5

約束


それは、少し前に交わしたこと。






流れていく時間はあまりにも非情で、
その頃の俺達は 背負っているモノの重大さを感じながらも、必死に逃げようともがいてた。

…惨めな、程に。



「また一人、死んださ」

無数のアクマの屍の上に立ち、ラビが自嘲気味に呟いた。

視線の先は、既に息の無いファインダー。


「…行くぞ、任務は済んだんだ」

「…、うん」


頭では分かっている。
十分すぎる位に。

それでも
簡単に割り切れる程、俺達は大人でも無い。


「大丈夫さ?ユウ」


いつの間にか、ラビが俺の顔を覗き込んでいた。

…馬鹿か、コイツ。
自分の方が 泣きそうな顔のクセに。


「…平気だ」

「ホントに?」

「ああ」

少しずつ、距離が縮まる。


「…本っ当、に?」

ラビの両手が そっと、頬に触れた。

「…しつけェよ、馬鹿兎」

その手を払い

…きれなかった。


「ユウ、約束。 オレの前では意地はっちゃ駄目。」

「……」


どう返して良いか分からず、されるままに抱き留められる。

その温もりは 妙に心地良かった。











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