2 「ユウ」 「聞ーてるさ?ユウー?」 …相変わらず五月蝿い奴。 「あ!何さその顔ー!ウザったそうにして!」 「実際ウザい。」 「…う、ユウは酷いさ…」 情けない声を出しながら ラビが頭を垂れた。 いつもの事ながらいちいち大袈裟だ。 ユウ…か。 コイツだけは、出逢ったときから俺をそう呼ぶ。 何度名前で呼ぶなと言っても 全然聞かない。 …いつだったっけな、コイツと初めて会った日。 「おい、お前が教団に来た日って…」 「ん?」 直ぐ様ラビが 俺を見上げてくる。 「1分1秒違わず言えるさ、聞く?」 …どこか自慢げな顔に見えたのがムカついたから断った。 「あ、そう…。変なユウー。」 「…」 あの頃から、ずっと。 お前は大した用も無いのに やけに俺の名前を呼ぶ。 まるで、記憶の中に刻みつけるように。 「…ユウ?どうかした?」 刻みつける、ように。 「…何でも、ねェよ」 お前が、"ラビ"のままで居られるのは、 俺の側で笑ってるのは、 …ユウと、呼ぶのは、 いつまで、だろう |