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ん …小説
準利

「利央、帰るぞ。」
「まってよ凖さ〜ん!」


Love・Love・Love!A



練習後の帰り道。
凖さんはやっぱり何も言ってくれない。

凖さんの背中を追いかける。
でも凖さんは待ってくれない。

さっさと一人で歩いて行ってしまう。


凖さんの一歩後ろを歩く。
いつもの俺の定位置だ。

「準サン、今日の練習大変だったね。」
「そうだな。」

「明日も大変だろうね。」
「そうだな。」

会話が一方的になる。
…いつもの事だけど。


――でもね、俺はさみしいんだよ、準サン。

まるで一人ぼっちで歩いているみたいなんだ。


準サンの一歩後ろを歩いているだけなのに、その背中が遠い。


準サン、俺にもっとかまってよ。

溜め息をついた。


次の日、朝練が終わって、教室で机に突っ伏して寝ようとしていた時。

クラスメイトが隣りの席で話をしていた。

「…でさぁ、昨日ナンパした女が……」
「うっそ、まじでか!?」

正直うるさい。
俺は朝練で疲れてて眠りたかったのに、隣りでばかでかい声を出される眠れない。
静かにしてほしいな…。

でも近いので嫌でも会話が聞こえてしまう。

「で、どこまでいったんだよ。」
「まぁキスまでは普通に済ますだろ?」


…は?
今なんて言った?
キスは、普通…なの?

つい会話が気になって、耳をかたむけてしまう。

「当たり前じゃん。その日にキスくらいはしないと。」


……三ヵ月つき合ってキス、したことないんですけど。

「だよなー。つか、別に好きじゃ無くてもキスくらいは出来るだろ。」

えぇー!!?

じゃあお互い好き合ってるはずなのに、付き合って三ヵ月も経つのに、キスしてない俺達って一体…




色々考えているうちに、俺はあることに気がついてしまった。


「俺、準サンに好きって言われた事…………無い…。」


呟いて、呆然とする。
そういえば告白の返事は「分かった。」だけだった。

…何がわかったんだよ準サン。



…もしかしてあの人は俺の事を恋人だと思って無いんじゃないか?

それどころか、自分に懐いてる従順なペットぐらいにしか思って無のかもしれない。


だって、考えてみればこんなの恋人としておかしい。

告白したのは俺。
手をつなごうとするのも俺。
デートに誘うのも俺。

準サンは俺に何もしてくれなかった。


やっぱり俺ばっかり準サンが好きなんだ。

ていうか多分、準サンは俺の事好きじゃない。

ねぇ、準サン。俺だけが好きなんじゃ恋人同士になんかなれないんだよ。
なんとも思って無いなら、期待させないでよ。


…準サンは俺の何を「分かった」んだろう。

俺は準サンの事、何にも分かんないよ。


…聞いてみよう。準サンにとって、俺は何なのか。



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あきゅろす。
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