ん …小説
凖+利→島(準太視点)
6限の移動教室へ行く途中で。
廊下の向こうから慎吾さんが歩いてきた。
初恋は叶わないっ!E
「あ、慎吾さん…ちわす。」
「よぉ準太。」
一応先輩なのでまずは挨拶。
俺は友達と歩いていたけど、慎吾さんは一人だった。
「探したぜ。お前、昼休みに教室にいなかったからさ。」
「あ、スンマセン。屋上で利央と飯食ってました。」
慎吾さんの眉尻があがる。
「…利央と…?」
「はい。」
…時間ねーな。
ちらりと、時計を確認する。あと2分ほどでチャイムが鳴ってしまう。
「じゃあ、俺行きますね。また部活で…」
去ろうとした時、慎吾さんは俺の左腕を掴んだ。
「あのさ、ちょっと話したい事があるんだけど。」
授業なんだけどなー…
でも先輩のお願いとあっては聞かないわけにもいかない。
友達を先に行かせて、俺は慎吾さんの話を聞くことにした。
―――――――――――
「話ってなんすか?」
あれ?なんかさっきも同じようなことを利央に言わなかったか…?
まぁいいや。
「…お前、見ただろ?」
「見たって何を?」
「昨日利央が俺にキスしてただろ。」
え…慎吾さん、あの時寝てたんじゃ…。
「やー実はさ、俺寝たフリしてて…」
驚かせようかとおもってさー。
カラカラと笑う慎吾さん。俺は驚きで何も言えない。
起きてた…てことは、
じゃあ利央の告白も、キスされた事も全部知ってるって事か?
「そんでさ、話っていうのが…
俺さ、利央が好きなんだよな。」
…そうだったのか。
「いきなりキスされたのはびびったけど…でも利央のキス、っていうのが嬉しかったし。」
「…そうなんすか。」
じゃあ、利央と慎吾さんは…両思いってことかよ。
…ヤバい。胸が痛い。
これ以上話を聞きたくない。
「なぁ、お前見てただろ。
利央は本気で俺のこと好きだと思うか?」
何も、言いたくない。
利央の話をしたくない。
『協力して欲しいな、って…』
利央の顔が浮かぶ。
慎吾さんの話をする時の利央は幸せそうだった。
―――――利央との約束、だからな…
「…利央は、慎吾さんのことが好きなんですよ。あの告白は本気でした。」
「…そっか。サンキューな。」
慎吾さんははにかむように笑った。
―――――――――――
慎吾さんに頼まれて、放課後の部活が始まる前に利央を屋上に呼び出した。
…屋上で想い人と二人きりにされて慌てる利央の姿が思い浮かぶ。
部活の準備をしているが屋上が気になってしょうがない。
ちょっとだけなら…
そう思い、覗きに行った。
屋上のドアを少しあけてのぞき込む。
…そこでは、
――慎吾さんと利央が、キスをしていた
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