ん …小説
凖+利→島(準太視点)
俺は恋をした事が無い。
だって『恋』なんてくだらないじゃないか。
初恋は叶わないっ!B
「凖さんおはよー!一緒に行こ〜!!」
次の日の朝、利央が家まで迎えに来た。
つーか家の前で騒ぐんじゃねえよ、アホ。
利央が家の前にいる事になんだか違和感を感じる。
利央が家に来るのは久しぶりだから。多分……小6以来だと思う。
あ、言い忘れてたけど、俺と利央は幼稚園からの付き合い。所謂、幼馴染み。
「あら、りお君。久しぶりねぇ。」
「おばさん、お久し振りっす!!」
「あらあら、大きくなったわねぇ。」
利央と母さんが玄関で話している。
……利央も家まできてしまった事だし、こうなったら仕方が無い。
「行くぞ利央。」
「あ、待ってよぉ!」
―――――――――――
早く学校に行こう。
そう思い、少し速く歩く。
…が、家から離れた辺りで利央の歩くスピードが落ちた。
ふいに、利央は立ち止まる。振り返ると目が合った。
「おい、早く行くぞ。」
「…ねぇ準サン、」
昨日のこと…なんだけど。
――きた。
この話題を避けたくて早く学校につきたかったのに。
いやいや、男らしくないぞ俺!!
逃げてどうするんだ!!
「あ、あぁ…。…話って何?」
「…昨日どこから見てたの?」
直球だなおい。
「え、えっと…わりと最初の方かな…?」
「さ、最初っ…!!」
利央は真っ赤になった。視線も泳いでいる。
「じゃ、じゃあ……キ、キスも…?」
無言でうなずく。
「や、やっぱり……」
今の利央は、もうこれ以上ないってくらいに赤い。
利央はすぐ顔にでる。
昔から、こういうバカみたいに単純で純粋な利央を俺は見てきた。
「お願い凖さん、俺が慎吾さんを好きだってこと皆にばらさないで…。」
でも利央はもう昔みたいに俺を追いかけてはこないんだ。
きっと、俺と利央の目が合うことはもうないだろう。
俺じゃない誰かと利央は…
こんな利央を俺は知らない。
知らない利央を見たくなくて、俺はそっぽを向いてしまった。
きっと利央は気付かない。
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