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番外編
−B

東山に聞き出したところ、人目の多い食堂では落ち着いて食事はできず、いつも学園内のスーパーで買った出来合いのもので食事は済ませていたのだという。
総菜食べるのはいいんだけど・・・けどね!?けどよ!?
僕がびっくりしたのは東山、それを冷たいままで食べてたんだよ!
さすがに僕、それを見たときどなっちゃったよ!!

「もっと美味しく食べれるんだから、ちょっとの手間を惜しむな馬鹿!」

ってさ。
レンジでチンするのを面倒がってるんだと思ったんだよね、そんときは。
だってこの部屋、オーブン付きの電子レンジがあるんだよ?
でも、聞いてみたらなんてことない。

東山はレンジの使い方を知らなかったんだなー・・・。

どんだけぼっちゃんなんだ。お前。
今はもう使えますよ。僕が叩き込みましたから。
まぁこのエピソードでわかると思うけど、東山は基本的に炊事は全くできないみたいだ。
そりゃ毎日冷たいままの総菜食べてりゃ、手料理がおいしく思うわけだよね。

と、いうわけでお礼とは名ばかり。
むしろお礼を口実に、僕は東山に無理やりバランスのいい食事を食べさせているのだ。
だって、育ち盛りの高校男子が総菜・・・しかも冷たいまま・・・。
僕、泣くかと思ったよ。切なさで。
心が痛い・・・切なさで胸が潰れそうになるぜ・・・。

そんなだから、東山が僕の料理を食べてる姿がすごくうれしく思う。



僕は下ごしらえをして作っておいた種を、冷蔵庫から取り出した。
フライパンに油を敷きながら、背後でうろうろしている東山に、フライパンから目をそらさずに声をかける。

「東山、暇ならレタスちぎってー」
「・・・どこにあんだよ」
「冷蔵庫の二段目に入ってるよー」
「・・・これか?」

自信なさげに目の前に出されたのは。

「違うな。それキャベツだな」
「・・・・・・・・。」

がんばれ、東山。
キャベツとレタスぐらい、見分けられるようにがんばろうな。
お母さん不安すぎて、お前を外に出せなくなっちゃうよ。

やっとレタスを見つけだしてきて、シンクでレタスをちぎり始めた東山を温かいまなざしで見てしまう。
たまに窺うようにチラと横目で見てくる東山に、間違ってなければ頷いてやる。
そうすると東山は、かすかに肩の力を抜いて作業に戻るのだ。

たまーにすごいことするからな、東山。
今も、ちょっとレタスの量多いもんな。


四分の一玉分ちぎってるけど、うん、お前が全部食えよソレ。



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