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番外編
@-3

僕は空気を変えるように、コツ、と少し強めに机をたたいた。

「僕だって、親衛隊と喧嘩なんてしたくないんです。でも、僕の部屋替えは難しそうだ。・・・先輩、そこでこんなのはどうでしょう」
「・・・言ってみなよ」

先輩は目を瞬き、僕を見つめた。
よし、結構いい感じだ。

「僕は東山に恋愛的な興味はない。独占するつもりもない。まぁ・・・友達にはなってみたいですけど、それも今のところ無理っぽい。」
「・・・・・・・。」
「先輩たちにも、敵意は抱いてないですよ?僕、綺麗なものは大好きなんです。」

にっこり笑えば、さっきとは違って先輩の目が揺らいだ。
僕はぐっと体を乗り上げるように先輩に体を近づけ、覗きこむようにして先輩の目を見つめた。

「これって、逆に美味しいと思いません?」
「・・・・どういうこと。」

僕は、近くで僕らを戦々恐々と見守っていた観衆の中にいた、カワイイ系の男子を適当に指差す。

「たとえば、僕が誰かと部屋を変わったとします。それが彼みたいなカワイイ系の東山を狙った子だったら?ガチムチ系でもいいですよ、アイツ奇麗な顔してるから、そういう系にもモテそうだし」
「・・・君は、完全な安全パイだってこと?」
「まったくもってその通り。先輩が希望するなら、東山速報とかも流しますよ」

ポケットから取り出した携帯を、先輩に見えるように振る。
先輩は、黙ったままじっと考え込んだ。


この先輩頭よさそうだし、なんか色々ぼろが出る前に、早目に決着つけたいな…。
ええい!見よ!僕の必殺技!

ダン!と音を立てて、先輩の目の前に紙片を叩きつけた。
ソレを見て、先輩が目を見開き。
次いで聞こえてきたのは、先輩の後ろにいるお取巻き諸先輩方の歓声だった。

「ちょっとちょっと、なにこれ!え、ウソー!」
「お風呂上り!?もしかしてこれ!」
「上半身裸じゃん!ちょっと、僕、コレ欲しい!!」

ふふん、聞いて驚くな。
これぞまさに僕の秘密兵器。


”東山四狼の生写真”である。


結構、部屋では迂闊なんだよね。東山。
バッシバッシ撮っちゃいました。
風呂上りやら、寝顔やら、僕自身はこれのどこがいいんだか理解できないようなマニア向けの写真やらその他もろもろ。
同室じゃないととてもじゃないが、撮れないアングルの写真ばかりである。

先輩の手が、写真に延びる。
しかしその白魚のような手が写真に届く寸前で、僕は写真ごと手を引いた。
先輩の視線が、僕の手を伝って僕の顔にたどり着く。
その少しばかり紅潮した顔を見て、僕は首をかしげて微笑んだ。

「で、先輩。どうします?」



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