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番外編
−D

結局その日は一実の部屋に泊まって、一晩過ごした。
ちなみに、同衾はしませんでしたよ!
一実に嫌がられて、ひとり寂しくソファで寝ました。これは切ない。
朝ごはんも僕が作り、日曜日だというのにクラス委員の仕事があるという一実を、新婚夫婦顔負けに見送った。
ネクタイ結んであげちゃったもんね。リボン結びで。すぐ解かれたけど。
思うんだけど、正面からネクタイ結んであげるのってすごい難しくないか?

「とか、思考があっちこっち行くのは、現実逃避なのかなー・・・」

僕も東山のこと言えないなぁ。

主がいない部屋の中で、ソファの上にてごろごろしつつ、考える。
考えるのだけれど。
なんだか、拒否するように脳みそが働かなくなる。
論理的に筋道を立てて、解決したいのに。

「全然論理的にいかない・・・」

筋道を立てていろいろ考えてみるものの、途中で絶対希望的観測が顔をのぞかせる。
感情が先に立つ。
今までこんなこと無かったはずなのに。

うぅ・・・と獣が唸るような声を出して、ソファの上で丸くうずくまった。


とりあえずいったんあきらめよう、と起き上がると、電源を切ったままの自分の携帯が目に入った。
一瞬ためらって、けれどテーブルの上に置いてあったそれを手に取り。
なんとなく電源を切っていたが、そういえば昨日遊ぶ予定だった友達にキャンセルの連絡は入れたものの、お詫びの連絡はしていないことに気がついて、電源を入れた。
とたんに表示される、受信メール数。

「・・・・・・こ、こえええ」

東山からの膨大な量のそれに、背筋に冷や汗が流れた。
メールの中身をちらりと覗いてみると、どうやら電話も散々頂いたようで。


殿はご立腹でござる。


いつも滅多にメール、ましてや電話なんかしてこないのに、一晩でこの受信数は明らかに東山に異常が起こっているサインに違いなく。

これはなんというか。


「益々、会いたくなくなったな・・・!!」


腰ぬけと言いたいなら言えばいいさ!!
実際問題、僕は基本的に小心者なんだよ・・・!



いつまでも主がいない部屋に居続けるのも気が引け、僕はのっそりと重たい腰をあげて、部屋から出ることにした。
オートロックって、こういうときに便利だよね。
東山にうっかり会ってしまいそうな気がして、右左と確認しつつ、ふらふらと足を進める。
東山に知られていない秘密基地はあっただろうか、と学園内の息抜きスペースを脳裏に描きながら、寮から出た。



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