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番外編
−A

「東山、僕昨日なんて言いましたか。」
「・・・・・・・・・予定がある」
「そうですよね。」

僕が微動だせずにうつぶせたまま話しかけると、東山は口ごもりながらも言葉を返してくる。
合っているので、相槌をうった。
そして、東山が作った一瞬の間で気づく。

コイツ、なんで怒られてるのかわかってんな?

なんだか変な具合になっている股関節を、だましだまし寝返りを打って、東山と向き合う。
いつの間にか東山はベットのすぐそばに立っており、僕の顔を見下ろしていて。
はたから見れば、東山のほうが僕に詰め寄っているように見える形だが、実際は。

「今何時ですか」
「・・・・・・・・・。」
「何時ですか。」
「・・・13時。」

予定どころか、せっかくの休日なのに、この体じゃどこにも行けないだろう。

「僕、だめって言ったよね。」
「・・・・・。」

責めるようなまなざしで睨みつけると、東山は眉を下げて目をそらした。
悪いとは思っているのだろう。
ばつの悪いような目の泳ぎっぷりじゃあ、僕はごまかせないぜ。

だけれども謝る様子も、ない。

ここでダメって言っておかないと、これ、絶対癖になる。間違いない。
甘やかしダメ絶対!
っていうか、ちゃんとセーブの仕方を教えとかないと、僕死ぬ。真面目に。
僕と自分の、体格と体力の差を知っていただきたい。

「東山、」
「知らねぇ。」

言葉の途中で東山が言葉をはさんできて、僕の言葉をさえぎった。

東山の悪い癖が、でてきた。
どうすればいいかわからないことがあると、すぐに投げ出してしまう。
困難にぶち当たると、いつも放棄してきたせいで、乗り越え方がわからないのだ。

ちょっとずついろんなことを、僕が教えていければいいと。
そう思ってるんだけど。


仏の顔だって、三度まで、なんだよ・・・?


そうだよね。
一回くらい、喧嘩の経験しといたほうがいいよね・・・!!


「ふーん、わかった。」
「・・・・っ、」


あえて冷たい音色で相槌を打った。
いつもと違うその雰囲気に、一瞬東山の体がビクリと震える。
それでも不機嫌そうな表情を崩さないのは、僕に許してもらえると思っているから。
確かに今までは、許しの一手だった気がする。
東山の伸ばした手を、振り払うなんて僕にはできなかったから。
その理由は、可哀そうだから、なんてものじゃない。


ただ、僕が、怖かった。


しかーし!
もう甘やかしの時代は終わった!!
僕、今回は厳しくいくよ!
しつけ、大事!



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