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番外編
島の処世術@-1
※時系列としては、2章の事件起こる前くらいの話です。



ザワザワと喧騒が溢れる食堂の隅。
普段は目立たない場所であるそこに、僕と一実は座っていた。
僕らのテーブルの向い側には、緑のネクタイを締めた、つまり3年生の先輩が威圧感豊かにずどーんといらっしゃっており。
同じテーブルについてるんだから、まぁ僕らに用があるのは間違いなく。

あぁーなんで、こう目立っちゃうかなぁ〜。
僕、これでも地味に暮らしたい派なんだよ!
目の前の人は、先輩だってわかってるんだけど・・・
うん、わかってんだけど。


……ほんとにこの先輩、”ついてんの”?


何が?とか聞くなよ。ナニがですよ。ナニ。

子猫のようなふわっふわの薄い色彩の髪には、見事なまでの天使の輪。
ふっくらした朱い唇は、甘い香でもさせていそうで。
アザレなんかで見慣れたとはいえ、これは鷺ノ宮でも際立つ可愛さです。間違いない!

その美貌のせいなのか、はたまたそれ以外の付加価値のせいなのか。
食堂の隅にいるにも関わらず、僕たちはものすごい量の視線を集めていた。
僕の日常が、ものすごい勢いで遠ざかっていくのが見えるね。
あのさ、あのさ。僕、泣いてもいい?


僕は綺麗に磨かれた銀色のフォークで、空になった皿の縁を軽く叩いた。
チン、と軽い音がして、それが戦いのゴングだというように、一実が口を開く。

「で、結局なにが言いたいんですか」
「東山様の部屋から出て行け」

鼻で笑うように僕たちを見下ろすその美貌を、僕は口を閉ざしたままじっと見つめた。
一実は呆れたように肩を竦めて、先輩を真似するように口元を歪ませた笑みを浮かべて、先輩を見返した。

「部屋割は、学校が決めたことです。
ご要望は、職員室または生徒会へどうぞ?先輩方?」

にい、と唇を歪める仕種は似合いすぎる程に似合ってるけど、先輩相手にその態度はまずいんじゃないのかなー、一実さん。


そう、今現在僕と一実は”東山四狼ファンクラブ”と抗戦中であります。
ちなみに、一実は完全に巻き込まれ系です。すまんな一実。
しかし、君のほうが僕より好戦的ってどうなのよ!

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あきゅろす。
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