3-4 「ま、そんじゃあ、部屋でごろごろしてるよー」 うーん、暇潰しもないんだけどなぁ。 どうしよう。やっぱ本か。僕の癒し。 何読んでなかったかなぁ・・・なんか新刊出てたっけな。なんか、ミステリを読みたい気分だな、今日は。 自室に積んである積み本リストを頭で並べていると、春兄がにっこり笑って僕の顔を覗き込んできた。 「なら、俺らの仕事を手伝ってくれないか?」 「う、え?」 「あぁ、そりゃイイ!書類処理なら、島の得意分野だしな!」 確かに、書類関係は得意分野であるけど。 文書整理、誤字脱字チェック、文法チェックなんでもござれだぜ。 ただし、日本語に限りますが。 「そうしたら俺らの仕事も早く終わるし、その後は一緒に過ごせるだろう?」 「そうしようぜ。島、いいだろ?」 うーん、まぁ暇だし。 「うん、僕にできる仕事があるんなら」 頷くと、またしてもとろけるような笑顔が返ってきて。 ま、眩しい・・・! この笑顔のダブルパンチには慣れてるつもりだったけど、久しぶりだもんな・・・! 夏兄の手が伸びてきて、僕の頭を少し乱暴に撫ぜる。 僕の髪をかき回す大きなこの手が、僕は昔っから大好きだ。 だから僕も、人の頭をなでる癖があるのかもしれない。 人に頭をなでられるのは、なんだか嬉しくすぐったくて。 胸のあたりが、ほわっとするよね。ほわっと。 久しぶりの感触に、僕は思わずくふくふと笑顔を浮かべた。 それを見た夏兄に、ガシリ、と頭を両手でつかまれて。 「ああああ島だなあああ!!」 「ちょ、夏兄、」 かき回される手が荒っぽくなって、僕は目の前を覆う髪を退けるように頭を振ると。 「夏、いい加減にしろ」 ひょい、と後ろから、春兄に抱えあげられた。 僕の身長は170ちょっと。春兄の身長は180強。 後ろから抱きかかえられるようにして夏兄から引き離されると、夏兄は悔しそうに顔をゆがめた。 「春、手ぇ離せ。」 「いやだね」 「てめぇ・・・」 「黙ってみてるなんてこと、俺がするとでも?」 「・・・抜け駆けは無しだろ?」 「それは、こっちの台詞だな」 睨みあう二人の視線の間にいる僕は、なんだか針のむしろに座っている気分です。 もうなれたけどね、うん。 十何年この位置にいると思ってるのさ。ハハハッ・・・・はぁー。 まったく、仲がいいんだか悪いんだかわからん一卵双生児だよなぁ。 昔っからこうなんだよ、ほんと。 [*前へ][次へ#] [戻る] |