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4-27

「ねぇ、ねぇ。俺も、俺もいっしょにいきたい」
「お前、まだ中学生じゃない。無理だよ。」
「行きたい」
「いやだから、」
「行きたい」
「だか、」
「行きたいー!」
「っ、だから、無理だって言ってるでしょ!」

話を聞け!と、声を上げると、途端に銀の整った綺麗な顔は、くしゃりと泣きそうな表情に歪められ。
「だってぇ〜・・・」とぐずぐず言いながら銀は、またもや僕の膝へと顔を埋めてしまった。

もー、なんなのよ。

溜息をつきながら、そんな銀の頭をなでる。
なんだか久しぶりに会ったら、銀の我儘度が上がっている気がするんだが、僕の気のせいだろうか。
こんな、どうしようもできないことを言う子じゃなかったのに。
これはあれか。どうしようもできないことを、やってのけちゃう黒さんの悪影響か。
床に座ることといい、黒さんの所に置いたのは、教育上よくなかったなー!もう!僕、迂闊!
って、まぁ教育上よくないってことは、分かってたんだけどね。うん。

頭の中で、悔しがってみたり、地団駄踏んでみたり、一人で頷いてみたりしていたところで、ク、という、低い笑い声が耳に響いた。
脳内会議を一時ストップし、顔をあげて笑い声の主を見る。

「全く、空気の読めねぇ駄犬だな」
「・・・そこが可愛いんですぅー」

忠犬も可愛いけど、馬鹿な子だってかわいいじゃないか、と口をとがらしてみせる。
忠犬、で同室の誰かさんを思い浮かべたなんて秘密だ。
こんなこと言ってたら、またムツゴロウとか言われてしまう。

僕の返事を聞いているのか、いないのか。
僕の膝に顔をうずめる銀の後頭部を見て、楽しげに黒さんは言葉を続けた。

「もしくは・・・飼い主が竦んでるのに気がついて、吠えた、か」
「・・・・・・、」
「そうすれば、出来たペットだけどな。どうだかナァ。」

僕はさっき、確かに、黒さんの威圧感に竦んでた。
けれどそれを堂々と本人に告げられるのは、なんとも屈辱で。
悔しい半分、照れ半分で、僕は黒さんから思いきり顔を逸らした。
そんな僕の反抗的な行動すらも、きっと黒さんにとっては猫が顔をそむけた程度にしか思えないんだろうけどさ。
・・・いや、ネズミか?いやでも、せめて犬猫ぐらいには見てて欲しい。
小動物程度のとるに足らない存在としか見られてないから、反抗的な態度も許されているのが現状なんだろうけれども。
でも、ちょっと男としての沽券にかかわるよね。
そんな、複雑な心境です。



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