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3-15

僕から手を放したとたん、興味を失ったように振り返りもせずに生徒会室のドアに向かっていく遊佐先輩を横目で窺う。
遊佐先輩の動きに合わせて翻る青色のネクタイを見つつ、僕はこっそりため息をついた。


でもまぁ、この怪我は必要経費かね。


遊佐先輩の赤みがかった瞳を思い出して、背筋を冷たいものが通る。

笑みを浮かべ、てひょうきん者を装っていたけれど。
あの眼は、いやな感じがする。
多分彼は、手加減を知らない、子供のような無邪気さで人を害することができるタイプの人間だ。
残酷という言葉を知らず、ただ楽しさを求める眼。

目をつけられたら、ちょっと回避しきる自信が、ない。
この程度の痣で、回避できるなら安いもんだと思う。



生徒会室に入って行った遊佐先輩の背を目にして、僕は安堵のため息をついた。
うぅ・・・助かった。
薄々気付いてたけど、こわいよこの学校!
一歩間違えたら、大変だよもう!

肩を落としつつ、部屋へ帰るために足を踏み出した。が。

「こっち」
「痛っ!!」

急に、手首に激痛が走る。
何かと思えば、もう一人の書記先輩、当麻先輩がまっすぐ僕を見て、痣ができているほうの腕をつかんでいた。
またそっちか!
掴むなら逆の手を掴んでくれ、頼むから…!
激痛に思わず、叫びと共に体を飛び上らせると、当麻先輩は無表情でぱっと手を離して首をかしげた。

「痛い?」
「・・・・・・・い、痛いです」
「そう」

小さくうなづいて、当麻先輩は僕の反対側の手を引っ張って歩き始めた。

え?ちょ、どこ連れてかれんの僕。
遊佐先輩に気を取られすぎて、当麻先輩には気ぃ抜いてたけど、この先輩もなんか危険だったりするのかなぁ〜!?
あーもーどーにでもしてくれ!!

ずるずると引きずられるまま廊下を転げるように歩きつつ、僕は、この学園での生きづらさに頭を抱えるのだった。
てかこの先輩、たおやかな雰囲気の癖に、力強!!
同じくらいの身長の僕を、平然と引きずるとかどんだけー!


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