3-14
「ふぅん。一年のムツゴロウが、神崎兄弟愛しの弟やってんか・・・」
「はぁ、まぁ、いとしいかもムツゴロウかも僕は知らんのですけど、確かに僕は一年の市ヶ谷ですねぇ・・・」
「別に、なにかありそうなかんじはせぇへんけどなぁ」
「普通」
二回目!大事なことなので、二回言いましたってかコノヤロウ!!
泣きますよ僕!!あ、だめだ。オレンジの先輩はドSだから、泣いたら喜ぶかも知れん。
島、涙は我慢だ・・・男の子だもんね!
僕は、つかまれている手首に視線を移した。
「先輩、そろそろ手、」
「遊佐って呼んでぇーな。俺も島って呼ぶし」
「・・・遊佐センパイ、ハナシテクダサーイ」
「うぅーん、30点。反応がオモロないわ。もっとこう、抵抗とかせぇへんの?」
誰がするか!
ドSに抵抗とか、エサやるようなもんだろ。
ドSには無抵抗。愛想良く。
慈しみの心を持ちつつ、ガンジーのような無抵抗の気持ちで。人類皆、兄弟ですよ。
その気持ちを忘れた瞬間、食われるぞ僕。
死ぬ気で無抵抗になれ・・・!!
にこにこ笑みを浮かべながら、僕は遊佐先輩の顔を見返す。
「いやいやそんな無理っすよ。だって先輩生徒会なんでしょ?生徒会に逆らうなんて、明日からの僕の生活成り立ちませんから。」
「・・・つまらんなぁ自分。なぁーんで、こないなやつに、あの兄弟が拘るかなぁ」
「さぁ?まぁ、幼馴染ですしね。長い間いれば情もうつるでしょうし。」
「・・・・・まぁ、ええわ。行きー。」
投げ捨てるように振り放された僕の手首は、赤黒く腫れ上がっていた。
・・・これ、ほんと大丈夫か?
うーん、保健室もこの時期は開いてないしな・・・どっかで湿布を調達しなきゃ、こりゃ寝るとき熱出すぞ。
入学式からこっち、怪我が絶えないなぁ、僕。
腹の痣も、やっとのことで消えて来たってーのに。
手首だし、こりゃまた東山に助けを求めなきゃだなぁ・・・。
東山にむっつりとした顔で湿布を貼ってもらう日々が、やっと終わったっていうのに・・・!
面倒だろうから自分でやるって言ってんのに、東山無理矢理やるんだもんなぁ・・・
眉しかめながらやるって、東山ってもしかしてM?
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