3-13
やっと息が整い大きく息をついた僕は、銀髪の先輩に頭を下げた。
「ありがとうございます。助かりました。」
「遊佐が悪いし」
「先輩の手、暖かいですね。気持ちよかったです」
笑って言うと、先輩は無言で僕の背から手を離して立ち上がった。
そしてそのまま、そっぽを向いてしまう。
あれ、何故に。
ちょっと台詞が変態くさかったか。
僕、自重。
先輩に続いてよろけながら立ち上がった僕に、オレンジ頭の先輩が笑いかける。
「んで?なんでなん?」
この人、真性だな。全然悪びれてねぇ!
僕は、酸欠でふらつく頭を押さえながら、頭を抱えた。
「生徒会室に溜まってた風紀の書類を片付けに来たんだそうです。僕はその手伝いで」
「ふぅーん、なっちゃんとはどういう関係?」
「・・・幼馴染ですかね」
「・・・おとうと?」
「あぁ!もしかしてお前、なっちゃんとはぁちゃんの弟君!?」
どんだけ知れ渡ってんですか、兄ちゃん。
隠すなら、しっかり隠しなさい!
てか、はぁちゃんて、春兄のこと?かわいいな。はぁちゃん。今度僕もそう呼んでみるか。
オレンジ頭の先輩が、マジマジと僕を見ながら首をかしげる。
「あの二人が散々自慢しよるから、どんだけものすごい美形かと思ってんけど・・・」
「普通」
「やなぁ」
痛ー!!
そりゃ、普通とか平凡とか言われ慣れてるけど、だからといってこの心の痛みが無くなるわけじゃないんですよ!?
平凡がいてこそ、美形だって光り輝ける…つまり美形は月、僕ら平凡は太陽なんですよ!!!
・・・・・・うん、まぁ、これはちょっと言い過ぎたかな。うん。
美形が月なら、僕らはスッポンですよねハハハ。
「普通ですいません。いやはや、全く」
「いやいや、これはこれで中々」
「いやいやいや、とんでもないです。じゃあ僕はこれで」
「まぁ、ちょっと待ちぃーや」
では!とさわやかにその場を離れようとした僕の手首を、オレンジ頭の先輩がつかむ。
がっつりと掴んできた手の力が、容赦ない。
しかも、夏兄が握ってたのと同じ方だから、二倍痛いんですけど!
思わず顔をしかめた僕に、先輩がニィ、と笑みを浮かべた。
「名前は?」
「・・・市ヶ谷です。えっと先輩方は。」
「あれま、驚いた。俺らのことしらんの?俺は関遊佐(セキ ユサ)、この銀髪のが当麻英(トウマ エイ)。二人で、生徒会の書記やってん。・・・・んん?市ヶ谷?どっかで聞いた気が・・・」
「ああああいやそれは、気のせいじ」
「ブリーダー」
「英それや!一年のムツゴロウやないか!」
よーしよーしよーし って、違ぇー!!
どこまで、その話は広がってんだ・・・・!!
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