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2-7

昼食を食べ終え、僕はちょっと用があると言って、二人と別れた。
アザレの顔にはありありと不満が浮かんでいて、一実はこれから僕がどこに行くか分かっているのか、眉をしかめた。
そんなご機嫌ななめな二人をなんとかなだめすかし、僕はある空き教室に向かったワケです。

目の前の空き教室のドアを軽くノックをすると、低い声で応えがあり、僕はドアを開けて中に入った。

「どーも。」
「あぁ、すまないな」

中にいたのは、見上げるほどに背が高い、男達。
全員3年だ。
体つきはがっちりしていて、みるからにスポーツをやっている雰囲気の集団である。
その中の、頭を角刈りにした男が口を開いた。

「いつもすまないな。」
「お互い様ですよ」

下級生の僕に対して申し訳なさそうに笑う彼は、この集団のリーダーだ。

この集団。
そう、この集団こそ"皆本アザレ親衛隊"の皆さんです。
ちなみにココにいるのは、幹部だけ。幹部って何かしらオイオイ、と思わず僕も最初は突っ込みました。
まぁなんていうか、そうなんだよね。

あれだけ仲良くしてる僕が、ファンクラブから目をつけられないはずはないんだよね。

けれど。

「最近特になにもないですよ。平和な感じですねー。」
「そうか。」

厳つい顔が小さく緩む。
その表情を見て、僕の顔も緩んだ。

アザレの親衛隊に呼び出されたのは、入学して1週間後。
アザレの下僕宣言から3日後のことだった。
まぁ、僕としては想定の範囲内のことだったけれども。
アザレにファンクラブがあることは、兄ちゃんたちに教えてもらっていたし、ファンクラブというものが鷺ノ宮においてどんな存在なのかも聞いていた。
情報は武器だよ。
僕はちょっと悩んだ結果、ファンクラブと交渉することに決めた。
本当は仲良くしないのが一番面倒がないんだけれど。
仲良くしないのが一番だっていうのは、一実にも言われた。
けれど、僕はアザレと繋がりを持つことを望んだ。
だって、僕はアザレが気にいったんだよ。すごくね。
それを邪魔する権利があるやつなんて、本人以外いないでしょ?

アザレのファンクラブの呼び出しを受け、その幹部と名乗る男たちと話した僕は、そんなもんで、半ばケンカ気分でいたのだが。


結果は、良い意味で拍子ぬけ。


アザレのファンクラブは、リーダーの気質なのか、アザレがそういう男を集めるのか、アザレの性格がそうさせるのか(これはないな)、なんだかとっても硬派な集まりだったのだ。


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