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2-4

アザレは、今年の新入生でもピカイチと名高い美貌の持ち主だ。
そして、本人にもその自覚が、たっぷりある。
正真正銘の一般新入生で、小学部からの持ちあがり。
こってこての、鷺ノ宮生ってワケだ。
中等部でも親衛隊(いわゆるファンクラブってやつか)があり、もちろん持ちあがりで高等部にも、より増員した親衛隊が存在する。

何の因果か、僕はそんなまるで身分違いとでもいうべき姫様に、気に入られてしまったのである。

別になにをしたわけでもない。
ただ例の如く、奇麗可愛い物好きな僕は、彼の一挙一動をにこにこと見つめていただけだ。
気持ち悪がられる覚えはあっても、気に入れられる覚えはないな、うん。
ひ、開き直ってなんかないんだからね!

アザレは、まるで気位の高い猫だ。
近づかれるのは嫌。でも、崇められるのは当たり前。
触ろうとすれば鋭い爪でひっかかれ、血が出るほどかみつかれるに違いない。

僕は、そういうつれない猫が大好きだ。
そういう猫を見つけると、ついつい遠くから眺めてしまう。
ど、ドMじゃないぞ!そこは、言っておく!


そんなんで、つれない他所ん家のお高い猫を見てるつもりで、アザレを見ていたんだけれども。
入学式から幾日か経ったある日、突然「市ヶ谷島!お前は今日から僕の下僕だ!」宣言を受けてしまった。
なにをどう間違ったんだか。


「どう思いますか一実さん」
「僕が知るはずないですよ島さん」

筆箱をマイクに見立てて、隣の一実に向けてみれば、素気無くそっぽを向かれてしまう。

一実とアザレは、あまり仲がよろしくない。
もともとこってこての鷺ノ宮生であるアザレは、特待組を蔑む傾向があったし、一実はクラス委員の立場として、独断行動を好むアザレをよく思っていない。
それでもって、僕のこの状況だ。

「僕は、なんで島がこの状況を甘受するのかが、わからないけどな」
「だって、アザレ可愛いんだもーん」
「典型的なダメ男のセリフだよな、ソレ」

ですよねー。




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あきゅろす。
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