ああ悲しき人生かな(笑)
危ないハプニング
はっ、こ、ここで寝たら…僕の身体がああぁぁーっ!
起きろ僕!頑張れ僕!
頭の中で無理矢理葛藤を繰り返して、いま僕の中で2番目の敵、マブター(瞼)が落ちてこないように踏ん張る。
やっとマブターに打ち勝ってそろそろと上を向くとお兄さんの首筋が見えた。
顔は後ろを向いているせいか見えない。
「あ…のぉ……?」
まだ倒しきれてないマブターが襲いくるのを必死で止めて目の前のお兄さんに声をかけた。
お兄さんは弾かれたように後ろを向く。
その一瞬のお兄さんの目が射殺すように睨みつけていて、僕はマブターを撃破して驚きに目を丸めたけど、それは本当に一瞬で、いま僕を見つめているお兄さんの目はさっきとおんなじ、優しい視線。
「ごめんね、起こしちゃった?」
「…ぃぇ…」
さっきのは見間違えかな?
って小さく首を傾げると視界の端に顔色を悪くした3人のお兄さんが目についた。
そのことでびっくりした僕は自分の状況なんか忘れちゃってたんだ。
だから。
「だ、大丈夫ですか!?」
お兄さんに抱き締められてる中から身を乗り出してそう叫んじゃった。
手はお兄さんのシャツを強く握って。
ぐっと上半身に力を入れて持ち上げるとお兄さんたちがあっ!て顔になる。
「み、みづきくん、危なっ」
「…へ?…うえぇぇっ!?」
お兄さんの澄んだ声が聞こえたのと同じに段々と視界が斜めになっていく。
またかァァァ!
そう思ったけどまた少しの衝撃がきただけでとくに痛いところやぶつけたところはなかった。
目の前にはお兄さんの首から肩にかけてのラインと黒い革。
やっと僕が座ってた場所がソファ、そしてお兄さんが僕の隣に座ってたんだって気づいた。
それと僕が、お兄さんの上に乗って押し倒したような格好になってること―…。
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