ああ悲しき人生かな(笑)
3
僕が丸まってから誰も喋らなくなって、数十分後。
やっと車が止まった。
「おい、着いた――」
――ゴツッ
「…〜っ……」
「………」
「「………」」
「…なにしてんだァ?お前」
は、恥ずかしい…っ。
今の現状を詳しく言うと車が止まった時、僕はあの丸い体制のままでいたからもちろん止まるなんて知らなかったし、どこかに捕まってるなんてなかった。
そんな僕は車が止まったことで身体が揺れて、こうゆうのなんて言うのかな?
ほら、こうなってこう…まぁなんとかの法則だよ、うん。
よく分かんないけど身体が前に押されて、ハゲのお兄さんがなんか言った時に見事頭を運転席にぶつけた。
そしてまた後ろに戻って元の体制。
今度は違う意味で頭を抱えて丸まり、悶えている僕を見て、お兄さんたちは物凄く意味が分からない、みたいな顔をしてる。
隣にいる約一名は凄く楽しそうだけど。
「…降りるぞ」
ハゲのお兄さんの独り言みたいな問いに答えてる暇はなくて、ぶつけた頭を擦ってると鶏お兄さんが車を降りた。
それに続いてハゲのお兄さんがため息をついて車を降りて、隣にいるお兄さんも笑いながら車を降りる。
僕は、絶対に、降りたくない。
降りたら僕の大切な何かが、中も外もなくなる気がする。
未だ頭を擦りながら扉の取っ手辺りを潤む瞳で見つめていると、何時までも車から降りない僕に痺れを切らした鶏お兄さんが舌打ちをして。
「おいリュウ、担げ」
「はっ!?俺かよ!」
「当たり前だろ、早くしねェとどてっ腹に風穴開くぞ。
組長直々のな」
「さっきみてーにテメェが担ぎゃいいだろうがっ!」
「馬鹿野郎、俺に被害があったらどうすんだ」
「知るか!」
二人がそんなやりとりを行ってる中、一番最後に出た筈のお兄さんは何処にもいなくて、鶏お兄さんもハゲのお兄さんと言い争いながら目の前にあるデッカイ門へと歩いていってしまう。
ハゲのお兄さんはその背中になにか声をかけてたけど、お兄さんは無視状態に入っちゃって門の中に消えていく。
肩をがっくりと落としてため息をつくお兄さんを見て、僕は自分の状況すら忘れて哀れに思った。
この人、絶対に苦労人だ。
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