ああ悲しき人生かな(笑)
6
「…やっぱりな」
「、え?」
「まァ、ちげェっつわれても困るけどな」
「あーあ!ざぁんねん」
口々にそう言うと鶏お兄さんは勢いよく姿勢を正して、僕の手首をガシッと掴む。
未だに会話の内容も、お兄さんたちの態度も、何のことだか分からない僕は、お兄さんに手首を掴まれても何がなんだか分からなくて、いつものように奇声を発することはなかった。
…けど。
「…っぅわ!」
いきなりお兄さんが僕の腕を引っ張るもんだから予想外すぎるできごとが…!
僕は立ち上がるどころか、行き過ぎて鶏お兄さんのほうに倒れていく。
心の中でお兄さんに謝りながら反射的に目を瞑って、ぶつかる痛みに備えたけど、頬に硬いけど温かい何かがぶつかっただけでそれ以上は何の痛みもない。
静かに目を開くと褐色の壁目に入った。
「あー!たつずりぃー!」
「何してんだ、お前」
「え、」
近く、とゆうより真上から降ってきた呆れを含んだ声に壁から視線を外して上を向く。
と、そこには僕を見下ろしてる鶏お兄さんが。
そこで僕は重大なことに気がついた。
こんなに近いくて温かいってことは、これは…。
おそるおそる視線をお兄さんの目から順に鼻、唇、顎、と辿ってく。
辿り着いた先は僕の予想通りお兄さんの胸板。
居た堪れなくなりつい下を向いてしまうと、空気が微かに震える、お兄さんが笑ったような気がした。
「…まぁ好都合、か…」
呟いた言葉は聞き取れなかった。
そんなことより、僕にはこの状況からどうやって抜け出すかのほうが問題であって。
(いつまでもこの態勢でいるわけにはいかないし…)
その時、いきなり僕の体が浮遊感に包まれた。
「いくぞ」
「おう」
「もぅちょっと遊びたかったなぁー」
(えっ、えええ!?)
この浮遊感は僕が鶏お兄さんに荷物みたいに担がれてたから。
「捕獲かんりょぉーっと」
たぶん笑ってるだろう少しかっこいいお兄さんの楽しそうな声がドナド○をBGMに聞こえてくる(気がする)。
そうこの瞬間、僕は彼等に捕まったのだった。
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