恋愛講座
2
「山田ぁ?知ら」
ガラッ
シーーン
ず〜ん
今の状況を表すとそんな感じ。
まず俺の言葉を遮ったガラッ、は教室の扉が勢いよく開いた音。
次のシーーンは教室の空気っというか雰囲気。
最後のず〜んは現れた人、基扉を開けた人物が放つ空気。
皆一点を見ないよう無理矢理目を逸らしながらぎこちなく動いてる。
最悪俺に至っては恐怖で動けない(泣)チーン。
「あれあれ、いつも通りに噂の男。何でかすれ違った時いきなり殴られたらしいぜ」
山田のこと、そう小さく俺の耳元(ちょ、近い)でこしょこしょと話してくるタケ、吐息が耳にかかって堪らなく気持ち悪い。
でもそれほど聞かれたくないってことは、どんなに噂好きでもチキンなところは変わんないな。
固まりながらさりげなく空気オーラを出してる俺も人のこと言えないけど。
「(俺は空気俺は空気俺は空気俺は空気俺は空気俺は空気俺は空気俺は空気俺は…)」
「お、おいカオル?」
何度も言うがこれは小言。
そして俺は空気、だから話しかけんなっ!
タケに心中で悪態をつきながら視線だけ噂の狼棗(オオカミナツメ)先輩に移せば、先輩はこの教室の雰囲気を気にしてないのか、それとも本当に気付いてないのか、教室の雰囲気そっちの気で何かを探してるかのように瞳を左右に動かしていた。
狼棗って人は凡人最大の敵、あの“不”ついてしかも族の頭って話も…っ!
そんな人がこんな平凡クラスに来たってことは……。
うあ〜…もしかして誰かパシリかぼこりに…、あ?
目が、あった。
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