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風邪をひきました。



初めて来るこの部屋は、かわいらしい小物やぬいぐるみがある割に簡素な印象を受けた。
その隅に置かれているベッドの上には、顔を赤くして息を乱し、汗で全身が濡れている女性が横たわっている。

かと言って卑猥な事をしているわけでもなく。その実、風邪で寝込んだ彼女を看病している、という何ともベタなものだった。


「黒子っち…」

ベッドの上で寝ていた彼女が起きたのか、弱々しいか細い声が耳に届いた。
読んでいた本から顔を上げ、彼女を見ると、いつもの元気な顔はそこにはなく、人は病気になるとこんなにも変わるのか、と心の隅で感心してみる。

「あの…、もう帰ってもいい、っスよ」

大丈夫だから、と言う彼女の額に手を乗せてみると案の定とても熱く、熱が下がっていないことが容易に想像出来た。


「熱が下がっていないのに強がり言っても説得力ありません」

「…だってここにいたら黒子っちまで風邪ひいちゃうから」

ボクの事より自分の心配をすればいいのに。少しくらい弱音を吐いてくれてもいいのに。

「帰る以外で、ボクに何かしてほしいことありますか?」

そう聞けば彼女はうっすらと赤く蒸気した頬を更に赤くしながら、


「じゃあ…、手、繋いで…?」

と、本当に消えそうなくらい小さな声で言った。
聞き逃しはしないけれど。
持っていた本を床に置き、自分の手を彼女の手に絡めた。

「寝るまででいいから…」

既に意識が朦朧としているのか瞼を緩く開閉する彼女に、小さくおやすみなさい、と告げる。

手を繋いだままの状態では本を読むことも出来ないので、寝ている彼女を見つめることにした。




繋いだ手と手

(目が覚めてもこのままずっと、)




090619

にょた黄瀬ついに書いてしまったorz
風邪話!ベタですね、
そして未だに名前が決まらないという罠/(^O^)\
切実にネーミングセンスが欲しい




あきゅろす。
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