そんなところが愛おしい
「黒子、」
自分を呼ぶ声を聞き、黒子は声のする方を振り返った。
声からするにその声の主は部活の先輩だ。
「何ですか」
その人の名前を呼ぶ前にその人の言葉が紡がれる。
「腸が超痛い」
は?と、思わず聞き返しそうになるのを黒子はひたすら耐えた。
この先輩は何がしたいのだろうか、と黒子から溜め息がでる。
朝からやたらと黒子を呼び、自作のダジャレを披露してくる伊月。
正直、黒子としては少しだけ鬱陶しかった。その反面、名前を呼ばれる度に嬉しいと感じてしまう矛盾ばかりの自分に対し、黒子は眉根を顰めた。
「伊月先輩、」
また新しいダジャレを考え始めた伊月は視線をメモ帳に落としたまま、返事を返す。
「朝から思ってたんですが、どうしてボクにやたらと、」
構うんですか、と言おうとしたのだろう黒子は伊月が笑っているのを見て、
思わず言葉をなくした。
「だって黒子ってなかなか笑わないだろ?だから、」
黒子を笑わせることが出来たら、腕が上がった証拠じゃん。
理由は呆れてしまうようなものだったけれど、
(あなたのそんなところも)
(―…愛おしい)
090527
月黒と言う名の月←黒ですね
しかし……、なぜ初黒子小説が好きだと言いまくっている黄黒じゃないんだ……!
伊月先輩、好きです。キャラ掴みきれてないですが。