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03.憂鬱測定





「次どこ行く?」

「んー…ほなこっから近いで二組の教室でええ?」

「いいよー」



年に一度、この時期になると行われる身体測定

あたしは面倒なことに現在進行形でそれの真っ最中だ。この学校は最初に男女別に体育館に集合 そして適当に数人程度のグループを作って配られた紙をもとにどこの教室で何を測定するかを確認しつつ各々で身長・体重等全てを測っていき、それらの過程を終えたグループから再度体育館に集合し担当の教師に点呼を受け次第解散、という流れになっている。そしてどうやら紙を持って先頭を歩く同じグループの彼女達が目指す二組は体重を測る教室らしい。

靴下やカーディガンを脱いで順番に並べと教師から指示が出たので面倒くさいがそれに従っていると背中になにかが貼りついた。なにか、なんてあたしにこんなことをしてくる人物は一人しか居ないのだが。



「志乃、重い」

「なんでウチってバレたん!?」



振り向かずに名前を呼べば面白いくらいに焦った声。可笑しくてばーか、と漏らせば関西人にばかって言ったらあかんねんで!と軽いチョップを喰らった。そういえば去年もそんな注意を受けた気がする。忘れてた



「…なに、もう測り終わったの」

「うん!他の子待ちー」

「ふーん。何キロ?」

「え、乙女にそれ聞くん?」

「だいじょぶ、乙女じゃないから…ってベタだから言い直そう。キミは人間じゃないから大丈夫」

「是非ベタな方でお願いします」

「で、」

「で、って…ほんまに言わなあかん感じなんこれ」

「ん」

「……り、りんご三個分」

「キ●ィーちゃんか。」



ここで次千榎ちゃんやでーと同じグループの子に呼ばれたので志乃と別れた

そして率先して先頭を歩いてくれた彼女達のおかげで大分スムーズに終わったのだった。そんな彼女達に感謝しつつあたし達は点呼をしてもらうため体育館に向かう。館内に入る際に靴を履きかえていたら少し後ろから最近仲良くなった子の声がしてくるっと振り向く。予想通りの姿にあたしは笑んだ




「おー沙依ちゃんおつかれー」

「へ?あ、千榎ちゃん!」



声をかけると沙依ちゃんは一瞬キョドったがそれは直後ほんわかした笑顔に免じて許そう。
グループは違えど同じクラスなため並ぶ列は一緒だ。あたしの右隣に並びだした沙依ちゃんが突然思い出したように声をあげたので何事かとあたしは右を向く



「そういえば志乃が一緒に帰ろうって言ってたよ」

「…途中で一回会ったけど、聞いてない」



志乃の思い付きはいつも突然だ。しかしそう思いながらもどこで待ってればいい?とか聞いてるあたりすっかり慣れてしまったらしい。人間の順応性って便利だけどたまに恐くなる



「えっとね、下駄箱のとこで待っててって!」

「ん、りょーかい。ありがとね」



わざわざ志乃の伝言板になってしまった沙依ちゃんにお礼を言うとうちのグループの点呼が始まった。そういえば沙依ちゃんは一緒に帰るんだろうか、とかまた志乃の寄り道に付き合わされるのだろうか、とか財布持って来てたっけ、とかそんなことを点呼を受けながら考えた









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