ちょっとだけ《Lagi》
抱き締めた身体は簡単に折れてしまいそうに細っこくて
触れた唇はふっくらと甘く、柔らかかった
(女の身体ってみんなあんななのか?)
今日もいつも通り、何を考えてるのかへらへらと笑いながら隣を歩くルルをチラッと盗み見た。
あの夜以降、俺はお気楽なこいつの一挙一動に振り回されている。
――なぜなら
「きゃぁっ!!」
「…っと、大丈夫か?」
何もないところでつまずく、階段でバランスを崩す、人にぶつかる等、とにかく危なっかしいのだ。
あんな弱々しい身体なんて、ちょっとぶつけたら大変なことになるのは間違いないのに。
ルルは自覚がないのだろうか。
「あ、ありがと…ラギ」
「別にいい。気を付けろよ…ほら」
今度は前から来る人にぶつかりそうになるのをルルの手を引いて防ぐ。
休日のラティウムの人混みに来れるようになったのはいいが、今は変身することよりルルが心配で楽しんでなんていられない。
「で?次はどこに行きたいって?」
「…一番遠いお店」
「は?聞こえねーよ」
ぼそっと何かを呟いたあいつの声は喧騒に紛れてしまい聞き返すと、なぜかルルは頬を染めて恥ずかしそうにしている。
「えっと…もう少しこうしてたいな」
「まだ出店を見んのか…ったく、仕方ねーな」
女っていう生き物は本当にわからない。
買い物は長いし、何を求めてるのか言わねーし、頼りない身体で危ないことばかりしたがる。
俺はため息をつきながら相変わらずへらへらしている俺の女を盗み見るのだった。
抱き締めて知った柔らかさ
あの夜からラギは変わった。
今日だって待ち合わせに遅れそうなって階段を急いで降りる私に顔を青くする位焦っていた。
危ないことするなってよく言うようになったし、ゆっくり歩いてくれたりする。
なんだか真綿で包まれたみたいで戸惑ってしまう。
ねぇ、気付いてる?
もうちょっとだけ、手を繋いでいたい
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