夏の暑さにやられる(トレイン)
「ねーねートレイン」
「んあ?」
うだるような暑さの中、クーラーなんて快適なものなんてないアジト。
そこでだらしなくお腹をだしてソファーに倒れるトレインとスカートの裾をパタパタさせる私。
「海行こー」
「動くとあちーだろうが。…あと、そのスカートバタバタさせんのヤメロ」
「えーだって暑いー」
スカートの中って意外と熱籠るんだよ!
そう言ってまたパタパタ。
どうせトレインだけだし。トレインに見られたって気にするもんじゃないし。気にせずにパタパタ。
え?これでも乙女ですが。何か?
「……女らしさのかけらもねェ」
「聞こえてるんですけど」
「(チッ)」
「(舌打ちしやがった…)ったく失礼な」
「ホントのことだろうが。第一海行くのに、着れる水着あんのかよ?」
「なっ!あるに決まっ………ごめん。ないわ」
「それみろ」
わかってる。わかってるよ。敗因は「私、夏バテしてやせるタイプだから」と言って食べて食べて食べたのに決まってる。
いざ夏になったらバテるなんてとんでもない。アイス、アイス、アイスの毎日。そりゃあね、お腹だってね、出ちゃいますよ。
でも!でもそれを言うならトレインだって私と同じ生活してたはず!
私の倍はグダグダしてご飯食べてたし。
「トレインだって!」
「んあ?」
がば!っと捲れてたトレインのお腹を更に捲ってピタリ、手を這わせると見事な腹筋。ぜい肉のぜの字もない。何これ。トレイン、いつ運動してたわけ?
「…何でもない」
「そーかそーか。俺の体がうらやましいってか」
「うっうるせっ」
「もーお前胸ないんだからいっそ男になれよ」
ち、ちくしょう…!
言い返す言葉がない!
むう、とふくれて自分の胸を見る。(み、見なきゃよかった…)
「ま、でも」
その方が可愛いんじゃねーの?
そう言ってニヤリと笑ったトレインに不覚にも、ときめいてしまった。
くらり、夏の猛暑
20090709
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