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Sleepy Prince
何でもなかった毎日が、この日を境に変わった気がする。
Sleepy Prince
クラスにはこの学園のキングがいるせいか、休み時間は大抵女の人がたくさんいる。
別に…あたしに被害があるわけではないから関係のない話。
それに庶民のあたしが近づいても…ね??
「…………ゆうな〜??聞いてる〜??おーい」
「あっ!ごめん」
「あんなの見学しても時間の無駄よ??」
毎回飽きないわね。ってさやかが笑うから、あたしも笑い「今日のお土産持ってきたよ」って言って、机の上に盛ってきたものを鞄から取り出し置いた。
「10時のおやつ♪ゆうなが作るお菓子はいつも最高!!」
それはいつの間にか習慣になっちゃって、ほとんど毎日作ってるお菓子。
さやかはお嬢様なんだから、お家でもっといいものを食べてるはずなのに、あたしが作ったのがいいって言ってくれる。
嬉しそうに、美味しそうに食べてくれるからあたしもついつい作っちゃう。
今日のお菓子はクッキー。
「んっ!!やっぱりゆうなの作るお菓子はおいしいっ!!いつでもあたしの嫁においで」
「目が本気だから怖いよ〜」
「あたしは本気よ??いつでも嫁にしてあげるわ。男なんかには渡さないわ〜」
なんて言うさやかが可愛くて、思わず「大好き」と抱きつく。
頭をなでてくれるさやか。
クッキーを食べながらだけど。
周りはみんなキング様と亮くんに群がっていて、あたしたちのことは気にしてない。
「おいしそうだC〜これ食べてもE〜??」
かわいい男の子が目を輝かせながら、クッキーを指差す。
「あっ…どう「やだ。渡さない」」
「…!!」
さやかはクッキーを取られないように阻止していた。
「明日も作ってあげるから、一枚くらいあげなよ?」
「仕方ない。それにしても眠りの王子様がこんなところにいるの珍しいわね〜」
「跡部ちゃんに用事があってね…っ!!これおいC〜♪もう一枚…いてっ」
さやかによって2枚目を食べることができなくて、しょぼくれる男の子。
「次の授業が始まるから教室に戻ったら〜??」
「むぅ〜。」
あまりの子供みたいなやりとりに笑ってしまった。
「はい。こんなのでよかったら食べて??」
さやかのところにあったクッキーを、数枚男の子に渡す。
「うれC〜!!ありがとゆうなちゃん♪またね〜」
颯爽と去っていく彼。
可愛かったなぁ…。
「ねぇさやか??」
あ…ちょっと機嫌が悪くなってる??
「あの人って誰??眠りの王子様とか言ってたけど」
「芥川ジロー。同じ年の三年生で彼もテニス部のレギュラー陣の1人よ」
いつも寝てるから眠りの王子様。と付け加えてくれた。
「もーっ!機嫌なおしてよ〜!!明日はさやかの好きなシフォンケーキ作ってくるから〜」
「やった〜!!絶対よ??」
「約束!!次の授業の準備しなきゃ」
桜の花びらが散り、季節はもう夏になろうとしていた。
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