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meet again
彼があたしの名前をつぶやいた瞬間、あたしは何故か胸が苦しくなった。


それと同時に視線が痛かった。

 
meet again

昔の記憶が一気に蘇って、別に彼を見るのは数年ぶりではない。
帰り際にテニスコートで練習している姿を何度も見たことがある。

あたしはまっすぐ彼……亮くんを見ていたらしい。

「ゆうな〜??」
「宍戸、知り合いなのか??」


さやかと亮くんの友達が沈黙を破るように、あたしと亮くんに話しかけた。



「っ……ごめん。びっくりしちゃって…」

「あぁ。久しぶりだな」



さやかがあたしの名前を呼んで、亮くんは確信したらしい。



「久しぶり…だね??」


「何で疑問系なんだよ。」



そう言ってこっちに向かってくる。 

思わず身体が強張った。



……何だろう。
視線が痛すぎて怖い。


「ゆうな!!あんた先生に呼ばれてたんじゃなかったの??行くわよ」

ぐいっとさやかに腕を掴まれて、教室からぐいぐい引っ張られていく。


「…っちょっ!!」


亮くんの声が聞こえているのに、女子生徒を掻き分けて廊下に出た。
さやかはまるで亮くんの声が聞こえていないかのように、その場を去った。






宍戸side

相変わらず女子の声がうるさい。           
「今の女朝日 ゆうなだろ」

隣にいるのは跡部。

「幼なじみだよ……」

「ふーん」

そう。
とても大事な幼い頃からの人。
まさかこの学園にいるなんて…。

高校に進学して、ゆうならしき姿をみたことがあった。


でもここにいるとは思わなかったし、幼い頃のゆうなしか記憶になくて…別の人かと思って声をかけなかったんだよな。


……あいつ綺麗になってたな。



ゆうなside
「あんた顔色大丈夫??」


さやかはジュースを渡してくれた。

「………うん。ありがとう」

わざわざ事情も知らずに嘘をついて連れ出してくれた。


ほんとにありがとう。


「相変わらず人気よね。ほんと」

嫌みなくらいの言い方。
でもきっぱりと言い切るのはさやからしい。


「ごめんね…。ありがとう」

「優しいのはゆうなにだけよ??」

何も聞かずにいつもあたしの事を一番に考えてくれてる。
大事な親友。



ごめんね。
ちゃんと話すから、もう少し時間をください。


そんなあたしの気持ちを見透かしてるのか、さやかはあたしを見て苦笑いをした。

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