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小説という名の日記C(栞機能無し)
4

国王の部屋を訪れた王子は、早速用件を切り出した。
このところ従者の姿を見ない。
父上は何か知っているか。
知っているなら教えてほしい。

近い内に王子がそう問い詰めるだろう事を、国王は予測していた。
だから訪ねて来た息子に、用意していた答えを話した。

国王の元に従者が暇乞いを申し出てきた。
辞めさせくれと頭を下げられて、それを承諾したという。

何故引き留めなかったのか。
憤然とする息子を、本人の希望を断る理がないと答えてから引き下がらせた。

王子は決して納得してはいなかった。
だが最早従者は此処には居ない。
辞めてからの行方も分からない。
国王を責めても従者は戻ってこない。
これ以上国王と話してもどうにもならなかった。



部屋を出て行く王子を眺め、国王は法律が予想以上に上手く成功したと思った。
王子に言った事に嘘はない。
従者から国王へ辞職を願い出てきた。

これは国王も予想してなかったことだった。
二人を別れさせるのが目的。
目的は果たしたが、従者が王子の傍に居る限り、王子が妻を娶ることはない。
従者への想いを抱えたまま、独り身であり続ける。
さてどうするかと日々頭を悩ませていたところに、従者がやって来たのだった。

当然国王は申し出を快諾した。
従者の辞職を一部の者にしか教えず、箝口令を敷いた。
そして王子が問うてきた時に、従者の辞職を告げた。



王子と別れても、王子の傍に居られればそれでいいと従者は思っていた。
その選択が間違っていたと知るのは、王子が女性を紹介するようになってから。

どの女性とも長続きしない。
王子でないのだから心が動かない。
付き合うだけは付き合うが、付き合っているとも言えない状態。
女性が幾ら去っていこうが、そのこと自体はどうでもよかった。



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あきゅろす。
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