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小説という名の日記C(栞機能無し)
2

王子はその法律がどういう目的で作られたのか気付いた。
この法律がある限り、確実に自分達は罪に問われる。
その場合死刑となるのは従者。
王子がどれほど自分自身の死刑を望んでも、間違いなく従者が死刑となる。

何故ならばこの法律は、王子に妻を娶らせる為に作られた法律だから。
王子の世継ぎを作る為に作られた法律だから。
だから王子が死刑となることは絶対にない。

この新たな法律により、王子は従者と別れなければならなかった。



従者と別れはしたものの、王子は従者への想いが捨てきれなかった。
諦めなければならない。
そう理解しているのに、心が伴っていかない。
従者を見れば抱き締めたくなる。
従者に口づけし、その身体を抱きたくなる。

従者を諦める方法。
従者が誰かと付き合えば諦めもつくかもしれない。
誰かと幸せそうに寄り添う姿を見れば、この気持ちにけじめをつけられるかもしれない。
それは考え抜いた末の選択だった。



王子は従者に女性を紹介した。
王子が紹介した女性は、王子自身が選んできた女性。
この女性にならば従者を託しても許せるかもしれない。
厳しい基準で見立ててきた女性。

従者は王子に女性を紹介され、心が張り裂けそうだった。
王子から切り出された別れに応じたのは、王子が従者の事を思って苦渋の決断をしたと知っていたから。
望んで別れを告げた訳ではないと知っていたから。
けれども王子に女性を紹介されたのは、従者の心に深い傷を刻み込んだ。
自暴自棄になるくらいの苦しみだった。

王子でないならば、誰と付き合っても同じこと。
自分が誰と付き合おうが構わない。
王子でないならばどうでもいい。
従者は王子が紹介した女性と付き合った。



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