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小説という名の日記C(栞機能無し)
1

どっちが大事?
大好きな人に囁かれれば、勿論答えは決まってる。
聞かれるまでもなく、迷う訳もない。

貴方が何倍も大事よ。
貴方さえいればそれだけでいいの。
それが彼女の答え。
何時までも女でありたいと願う彼女は、彼女の血を受け継いだ彼より愛する男性を選んだ。

幼さは残酷で、化粧を施した彼女はいそいそと身支度を整える。
其処に在るのは放置した空間。
要らないものだけを置き去りにして、彼女は愛する男の元へ出掛けていく。



愛を幾つも配れたらいいのに。
幼い彼を少しだけ視界に捕らえて、彼女は思う。

けれども彼女の心を捕らえるのは愛しい人だけ。
だから声に出してみる。

仕方ないじゃない。
愛せないものは愛せないの、と。

縋りつく声が邪魔で振り払った。
彼女の狭いキャパシティは、幼い存在を受け入れない。
何も感じない彼女は、彼を意識から容易く追い出した。



彼女がささやかな優しささえあげられないのは、決して彼が悪い訳じゃない。

新しい命の意味を知らなかった。
愛することの本当の意味も知らなかった。
自分を愛した彼女は、何時までも女であることに拘った。
だから彼が悪い訳じゃない。

放置した空間を忘れた彼女は、今日も愛する男と幸せな時間を過ごしている。


















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