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小説という名の日記C(栞機能無し)
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それなのに、今までのメールは全部嘘?
晶に返信していたのは司。
英の携帯を使って、司が英の振りをしていた。
晶を騙していた。

英・・・。
枕に顔を埋めて恋人の名を呟く。
近付く足音も無視して、ひたすら恋人の名前を呼んだ。

晶を騙していた男が晶の名を呼ぶ。
そっと肩に触れた手。
かっとなってその手を払い退けた。
嘘吐き、と思い切り叫んだ。



司と英の関係は何?
何で司が英の携帯を持っている?
何の目的で晶に近付いた?
分からないことは山ほどあるのに、今の晶には騙されたという思いしかなくて。

これでも司を信用していた。
司と居ると楽しかった。
司のお陰で毎日が早く過ぎていった。
それなのに、司は晶を騙していた。



布団を被り背中を向けて拒絶を示す。
触られたくないと、全身で意思表示をする。

司の声も聞きたくない。
だけど司が喋り掛けてくる。
晶、説明させてほしい。

声は聞きたくないけれど、晶には分からないことばかりで。
真相が知りたい。
背中で拒絶をしながらも、意識を司へと向ける。
無言を肯定と受け取ったのか、司が説明を始めた。



英は俺の兄貴だ。
小さく晶の肩が跳ねた。

聞きたくない。
聞いてはいけない。
司が英の弟なら、これ以上は危険だ。
司の話はきっと晶を傷つける。

耳を塞いだ途端に、手首を掴まれ強引に外された。
無理矢理現実を突きつけようとする。
強く荒だった司の声。
それは晶への怒気を含んでいて。

聞けよ。兄貴は死んだんだ。
何時までも逃げてんじゃねえ。

掴まれた手首が痛かった。



英の携帯を奪われても、取り返す気力がない。
いやいやと首を振っているのに、司は追い打ちを掛けてきた。

ほら、見ろよ。
これも。これも。これもそうだ。
今までのメールは全部俺が送った。
兄貴が送れる訳ないだろ。
もうこの世にいないんだからな。
晶だって本当は分かってんだろ。
兄貴からメールなんて来るわけないんだよ。
俺が全部送ったんだ。



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あきゅろす。
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