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小説という名の日記C(栞機能無し)
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ほんの少し時間を置いて、突然聞こえてきた音楽。
それはメールの受信を告げるもので。
音楽は司から聞こえてきた。
だけど。

携帯を取り出して確認しようとしない。
司、今のは?
晶の問い掛けに、放っといて大丈夫だと笑っている。

晶の顔から失せた血の気。
放っといて大丈夫?
今の音楽を?
だってあれは。
あの曲は。



司、今の曲、何てタイトル?
何とか感情を押し殺した。

ごめん、俺にも分かんない。
司が困ったように眉を下げる。

分からない。
司が分からないのも当然だ。
だってあの曲は世界に一つしかない。
アプリを使って晶が作曲したもの。
興味本位で作ったのに、なかなかの出来映えだと誉められた曲。
それを着信音にしている携帯は、たった一つだけ。
晶の恋人、英が持ってる携帯だけ。



何でだよ。何で司が英の携帯を持ってるんだ。
司に飛びかかって携帯を探す。
青ざめた司が何か言ってるけど、英の携帯を取り返すのに必死で。

返せよ、英の携帯を返せよ。
殴られても取り返してやる勢いで、服のポケットに無理矢理手を突っ込む。
固い感触。平べったいそれ。
取り出したものは、機種変更もしないままの、晶も見たことのある英の携帯だった。



携帯を掴んで、ベッドのある部屋に駆け込む。
全く殴って来なかったから取り戻せた携帯。
だけど何故?
どうして司が英の携帯を?

画面を開けば新着メール。
それは今さっき送ったばかりの菓子の写メ。

次々にフォルダを開いていく。
其処にあるのは、どれもこれも記憶にある遣り取り。
受信フォルダも送信フォルダも晶一色で。
他の誰の名前もない。



待ち受け画面は、晶と英のツーショット。
確かデータフォルダには、他にも二人のツーショットが入っていて。
データを開けば懐かしい写メが現れる。

どれもこれも懐かしい。
英と晶の思い出が詰まっている。
晶の携帯にもあるツーショット。
晶が一人で写ってるのは、英の携帯にしかないけれど。

英がどれほど晶を愛してくれていたのか。
データを見ているだけで、痛いほどに伝わってくる。



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あきゅろす。
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