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小説という名の日記@(栞機能無し)
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愛だの恋だの永遠なものはないと、高岡自身が思い込んでいた。純粋な浩太に惹かれる感情を、だから取り違えた。

浩太同様蔑んでいた存在、長山や上原と何が違うのだろう。同じではないか。高岡と何も変わらない。自分の感情を掴む事すら間違え逃げた高岡の方がまだ蔑まれて当然だった。

飼い犬に負けた事などどうでも良かった。浩太は飼い犬と純粋に恋愛をしていた。高岡自身の想いを認める前は、自分でも気付かず嫉妬をしていた。けれど今は一途に愛された飼い犬が単純に羨ましかった。そしてそんな真っ白な程に純粋な浩太が好きだった。



浩太を追い詰めたのは高岡自身。けれどもそれを告げても浩太はきっと自分の所為にする。高岡の所為ではないと、そんな風に思わせてごめんと激しく後悔する。浩太ならきっとそうする。

それでも謝りたい。だけど此処で謝ってしまえば、きっとそれは自己満足。浩太を、浩太の一途な想いを、浩太という人間を否定する事になる。



自分の想いを認めたと同時に分かったこと。
浩太の中に高岡が入る事はない。必要とされる事はない。アイリンと子供だけが何時までも浩太の中に存在して、今も尚二人だけを求めている。

認めたと同時に失恋。好きだと言えば浩太は困った顔をするだろう。幼い頭をこれ以上追い詰めたくはなかった。



浩太に逢うのはこれで最後にしよう。

自分の感情を認めた日、高岡は浩太への想いを胸に仕舞い込んだ。












高校生活に女の影はなくなった。

言い寄ってきた女を適当に抱く事はなくなった。
告白される事もあった。けれどそれも全部断った。

好きになれれば付き合ったかもしれない。けれど感情は動かなかった。

「好きじゃないから付き合わない」

「好きな奴しか抱かない」

何時だったか小山内達と遊んでいた時にそう言うと、小山内達は驚いていた。

全く健全な高校生活だった。












大学に入るとバイトを始めた。

サークルの勧誘もあったが、興味が湧かなかった。かと言って無駄に時間を過ごしたくはなかった。
コンビニとファミレスを掛け持ちした。

大学とバイト二件で時間は瞬く間に過ぎていった。












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あきゅろす。
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