小説という名の日記@(栞機能無し)
3
眺めている内に気が付いた。
好意と思ったそれは好意以上のもので、大輔が朔に対して抱いているものは恋愛感情だと。
包み込むように優しく、何処までも優しく接していた。
眼差しからも表情からも、全身から朔への愛が伝わってきた。
嬉しそうに切なそうに朔しか見てない眼差し。
あんな眼差しで自分が見られたらどうなるんだろう。
あんなに大切にされるってどんな気持ちなんだろう。
何時の間にかそんな事ばかり考えていた。
その日から知らず知らずの内に涼の目は大輔を探し、追っていた。
朔と同じクラスになれたらしい。
幸せそうな笑顔と蕩けそうな微笑みが其処にあった。
あんな風に見詰められたらどんなに幸せだろう。
あんなに愛されたらどれだけ幸せだろう。
あんな風に愛されてみたい。
あんな風に俺も愛されてみたい。
あんな風に・・・
大輔以外、目に入らなくなった。
朔にしか向けない眼差しを自分にも向けてほしい。
朔ではなく自分に向けてほしい。
大輔に恋をしたと認めるのは簡単だった。
あんな風に愛してくれるなら誰でもいいかというと、それは違うとはっきり言えた。
大輔でなければならなかった。
大輔が朔へと向けるそれを自分に向けてほしかった。
大輔に愛されたかった。
自分の感情を認めると同時に失恋も決定した。
失恋すると分かっていて告白できる筈もなかった。
自分の性格からすれば、失恋すると分かっていなくても自分からは告白出来なかっただろう。
それでも好きになった相手には既に好きな人がいるという事実は、辛くて痛くて苦しかった。
行き場のない想いを抱え、それでも大輔を目に映すのを止める事はできなかった。
好きでいるのを諦めようとしても、好きという気持ちはなくならなかった。
存在すらも知られてないのは分かっていた。
擦れ違うたび心臓が激しく高鳴るのは涼だけで。
朔にしか興味のない大輔が涼を視界に入れる事もなかった。
二人の楽しげな姿を見るたび胸が苦しくなり泣きたくなった。
それでも好きという気持ちは消えてくれなかった。
そして今も好きという気持ちはなくならず、こうして眼下の二人を眺めていた。
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