小説という名の日記@(栞機能無し)
22
天気の良い日曜日、リクライニング式の車椅子に乗せられ、病院の敷地を散歩した。
高梨はゆっくりと車椅子を押して歩いた。
「偶には外も良いもんだろ。本当はもっと連れてきてやりたいんだけどな。」
室内では感じることの出来ない太陽の光。遠くからは見ることの出来ない葉っぱ一枚一枚の煌き。全身に滲み渡る空気。
久し振りの外は視界に新鮮に映った。
「今度、海を見に行こう。きっと綺麗だぞ。」
偶にはこんな空間もいいと思った。
敷地を一周し部屋に戻った。
ベッドに移された時にガウンの裾が開ける。
伸びてきた手。裾を戻してくれるのかと思いきや、太股をやんわりと撫でてきた。
「敦は何時でも俺を誘う。」
高梨の妄想がまた始まった。
だけど高梨にとって妄想は現実で。俺は何時ものように抱かれた。
発条仕掛けの人形みたいに繰り返される言葉。
「敦」
「愛してる」
「好きだ」
快感は襲う。触れられた場所が熱くなる。
だけど俺は勃たない。
狂いそうな程に感じるのに俺は殆ど達する事が出来ない。
高梨だけが何時も嬉しそうに達して満足している。
俺はその度熱を冷ます為に違うことを考えては、昂りが静まるのを待つだけだった。
ただ、ほんの偶にだが、勃たないのに、達したと思える時もあった。
高梨は何も言わないから俺の性器は勃ち上がってもいないだろうし、精液を吐き出してもいないだろう。
けれど、執拗な愛撫に追い立てられ、昇り詰め、熱が弾け。明らかに達したとしか言い様のない感覚に陥った時があった。
それは本当にまだ僅かな回数だが、以前はなかった感覚。
それはこれからも徐々に増えていきそうで。俺の体が徐々に高梨によって変えられていってる、そんな気がした。
相変わらず変態だとは思う。
鼻息は荒いし。盛りまくるし。偶に美味そうに尿を飲むし。
だけどそれは俺に対してだけで。
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