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小説という名の日記B(栞機能無し)
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泰造は縁側で夜空を見ていた。
陽也に断られてから、雨が降らない限り縁側で夜を過ごしている。
星空を眺め陽也へと想いを馳せる日々。

自分でも未練がましいと思う。
だが陽也の事が忘れられない。
この星空を陽也も見ているかもしれない。
それは想像でしかないが、そうして想像することで少しでも陽也との繋がりを持とうとした。



この年になって、こんなに切なくやる瀬ない思いをするとは思ってなかった。
これほど焦がれる想いを抱えるとは思ってなかった。

今にも泣き出したくなる。
彼を想うと、つと涙が頬を伝う時もある。
どうしていいのか分からない。
どうすればこの想いが消えてくれるのか分からない。

これほど苦しいのなら、いっそ彼に恋をしなければよかった。
けれども彼への恋心を失くしたくない。
矛盾した思い。
張り裂けそうな胸の内をぶつける場所もなく、夜空を眺める事しか出来なかった。



もう一度会いに行ったら、陽也はどうするだろう。
申し訳なさそうに拒否する姿が容易に想像出来る。

駄目だ、もう一度会いに行くなどという事は出来ない。
それは陽也を傷付けてしまう。
泰造が傷付くと知った上でそれでも拒否するという行為は、陽也自身をも傷付けてしまう。
陽也は優しい。
そんな彼の優しさに甘えて、一方的に会いになどいけない。

学校の終わる時間帯を見計らい、建物の影からそっとその姿を眺めた事もある。
だがそれは陽也が泰造に気付いてないから出来る事であって、泰造が陽也の前に姿を現せば、それだけで彼が苦しむ事になる。

陽也の事ばかり考えている。
陽也の事ばかり考えていたから、不意に現れた人物に気付いた途端、泰造は腰を抜かしそうになった。





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