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小説という名の日記B(栞機能無し)
18


交際の無理強いは出来ない。
友達として付き合うなら、陽也も頷いてくれるだろう。
まだ泰造の事を何も知らないのだ。
もし気持ちに変化がなければ、それから断ってくれればいい。
だが陽也の言葉は泰造の予想に反していた。

「すみません。やっぱり無理です」

「何故?矢張り俺が同性だからか?」

話し終えるまでは敬語で話そうと思っていたのも拘わらず、思わずぞんざいな言葉が口を突いて出た。



詰問するような口調になってしまったが、よく考えれば同性を恋愛対象に見れなくても仕方がないのかもしれない。
泰造自身、陽也に出会うまで同性に欲望を感じた事はなかった。
だがそれは互いを知っていく中で、変化が表れないだろうか。
全く無理だと言われれば諦めるしかないのだが。

だが陽也は酷く言い難そうに返答してきた。

「それもだけど、そうではなくて・・・」



そうではないなら何だと言うのだろう。
後の理由が思い付かない。

「あの・・・、年が離れすぎていて全く考えられないです」

それは泰造を深く突き刺した。

泰造自身、年齢差がかなりある事は自覚していた。
だが妻とも十歳とは言え、年齢差があった。
年齢差が消極的な理由になるだろうことは予測していたが、きっぱりと否定されるとは思っていなかった。

「本当にごめんなさい」

はっと我に返れば、陽也が何度も申し訳なさそうに謝っていた。



そこからはどうやって帰って来たのかも覚えてない。
気にするな、とは言った気がする。
陽也より先に帰ったのかも覚えてない。

気が付けば家に戻っており、玄関にぼんやりと座り込んでいた。















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