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小説という名の日記B(栞機能無し)
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まさか自分が再び恋をする事になろうとは思ってもいなかった。
しかも後どのくらい余命があるのかも分からない。
幸か不幸か泰造はこの通り未だぴんぴんしている。
同年代と比べ健康には優れているし、実際の年齢よりだいぶ若く見られる。
まだ当分この世でお世話になるだろう。
だがなにせ年齢が年齢だ。
いつ迎えが来るとも限らない。
これからも静かに余生を過ごしていくのだと思っていた。

だが二度目の恋は泰造を年甲斐もなく浮かれさせた。
残り少ない人生。
恋に夢中になってもいいのではないか。
身を焦がすほどの恋で、最期を締め括ってもいいのではないか。



まるで二十歳の頃に若返ったような心。
老いてから再び経験するだけに、以前よりも始末に負えない。
独り身で話し相手もなく、趣味と言えばガーベラを育てる事だけだった。
陽也という存在が、泰造の余生に唯一価値のあるものとなった。

もう一度陽也と会おう。
友人という立場でもいい。
いや、この先どれくらい生きていられるか分からない。
ならば高望みしてもいいではないか。
恋人という立場を願ってもいいではないか。
陽也へこの恋心を告白しよう。

泰造は老いらくの恋に身を投じた。















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あきゅろす。
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