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小説という名の日記B(栞機能無し)
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「俺は君こそ優しいと思う。一つの方向からだけでなく別の方向からも考えて、相手を思い遣っている。陽也君を見ると、世の中まだ捨てたものではないと暖かい気持ちになれる」

力説すると、陽也がむず痒そうな笑顔を浮かべた。
そんなことないですよ、と謙遜する姿も心からのものであり、泰造は尚更陽也に感情を揺さぶられる。

こんな新鮮な気持ちは何十年振りだろう。
大恋愛の末結ばれた妻も、何十年も経てば馴れ合ってしまっていた。
妻が亡くなってから、妻のありがたさを再認識したくらいだ。
だから妻の好きだったガーベラを育て始めた。



「そろそろ帰りますね」

雑談により陽也が高校一年生だと知った。
近所の藍塔高校の制服を着ているから其処の学生だと分かっていた。
藍塔高校から友人の恋人が入院する病院までの道程に、泰造の家があるのだとも分かった。
だからその入院している者がもう直ぐ退院するという事は、今日で彼とも会えなくなるという事だった。

正直に言えば帰ってほしくない。
だが引き止める手立てがない。
今日という日がなければ、こうして話をする事もなかった。
話が出来ただけでも良しとしなければならない。

泰造は無理矢理自分に言い聞かせ、帰って行く背中を見送った。
















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あきゅろす。
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