小説という名の日記B(栞機能無し)
31
心中相手の娘の言葉。
柚季の態度。
首にあった痣。
柚季の拒否。
何から考えていいのか分からない。
何が起こっているのか分からない。
狂っているらしい父親。
首を絞めたような跡。
全身に散らばった赤。
多々ある遅刻や欠席。
知られることを拒否した柚季。
本当に頼られているんだろうか。
少しは支えになってるんだろうか。
だが柚季は何も言わない。
明白に陽一を拒絶した。
いつも笑顔を見せていた柚季が初めて取り繕えなかった。
気まずくなるのは嫌だった。
距離を置かれ、ほんの僅かの支えにもなれなくなるのは嫌だった。
だったら無理矢理じゃなくていい。
柚季が線を引くのなら、其処から柚季を見守ろう。
其処から踏み込んで欲しくないのなら、その距離からいつも見守っていよう。
見守る存在が居ることを忘れて欲しくない。
それだけは忘れて欲しくないと思う。
その為にも明日柚季と話をしよう。
無理に話さなくてもいいから、どうしようもなくなったら俺を頼れ。
いつでも待ってる。
そう告げればまた少しは柚季の支えになれるだろうか。
次の日、柚季は学校を休んだ。
その日前期の夏期講習が終わり、結局陽一は柚季と話せなかった。
後期が始まればまた会える。
柚季に会えるその日を待たなければならなかった。
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