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小説という名の日記B(栞機能無し)
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柚季の母親と心中した相手の娘が来た日、陽一はこっそり柚季の後をつけた。
柚季に押されホームに降りた後、慌てて電車に飛び乗った。

混雑に紛れ柚季を見失ったが、降りる駅は分かっていた。
一つ隣の駅で降りれば、直ぐに柚季の後ろ姿を見付けた。
声を掛ける気も追い付く気もなく、ただ心配でその後をつけた。

柚季が陽一に気付く事はなかった。
後ろを振り返りもしなかった。
いきなり走り出した時はつけられている事に気付いたのかと焦ったが、直ぐに一軒家にその姿が消えた。



其処が柚季の家だと分かった。
暫く陽一はその家の前で佇んでいた。
ただ心配でつけてきたが、何をしようという考えはなかった。
玄関のチャイムを鳴らそうとも、家に上げて貰おうとも考えてなかった。
チャイムを鳴らしても、きっぱりと線引きをした柚季が陽一を家に上げてくれるとも思えなかった。

家を知っただけでも良しとしなければならない。
何かあった時は直ぐに駆け付ける事が出来る。
陽一は来た道を引き返した。





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