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小説という名の日記B(栞機能無し)
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だけど矢張り高校に進学したのは間違いだったのかもしれないと思う。
事情を知らない中学の教師に強く後押しされた。
また柚季も少しだけ息を抜ける場所が欲しかった。
奨学金を利用したものの、このままでは出席日数が足りなくなる。

もうだいぶ前から、裕隆は柚季を執拗に抱くようになった。
どんどんそれが酷くなっていく。
抱かれた翌日、学校を休まなければならない時もある。

柚季の身体だけなら多少無理をしてでも学校に行くが、同じベッドで寝た朝は裕隆が柚季を離さなくなる時がある。
ベッドを抜け出す気配に気付いて、子供のように引き止める。
中学の頃からそれは顕著に表れてきていたが、今はそれが更に酷くなった。
柚季には縋り付く裕隆を振り払う事など出来なかった。



働きたいと思った事もある。
裕隆が働けない以上、収入がない。
貯金を切り崩しながらやってきたが、それも限界のような気がする。
だから少しでも収入を得、裕隆の面倒を見ていければいいと思った。

けれどもそれも諦めた。
職場となれば学校と違い、そうそう休めない。
益々酷くなっていく状況の中で働くなど出来る訳がない。
だから今は働くという選択肢はない。

だからこのままやっていくしかない。
裕隆から離れる気はない。
裕隆の面倒を見るのは自分しかいない。

柚季はいつものように自分自身に言い聞かせた。



シャワーの湯を止めたと同時に扉が開く。
開いた扉から裕隆が顔を覗かせた。

「まだかい?早く出ておいで」

どうやら待ちきれなくなったらしい。
一糸纏わぬ柚季の濡れた身体を見ても、倖乃だと思い込んでいる。
裕隆が欲情している。

「今終わったとこ。直ぐ出るよ」

疾くに声変わりを終えた声で言えば、先に部屋に行ってるよ、と裕隆が嬉しそうに笑った。
















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あきゅろす。
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