[携帯モード] [URL送信]

小説という名の日記B(栞機能無し)
5


「お気になさらないでください」

礼儀正しい女性に慌てて首を横に振る。
彼女に謝られる方が申し訳ない。
身内ではあっても彼女には何の関係もない。

「妹を許してね。妹は今ちょっと情緒不安定なのよ」

それはそうだろう。
夫を亡くしたのだ。
平気でいられる筈がない。
だが矢張り納得いかない部分があった。



「何か俺、妹さんに嫌われてるんですよね」

苦笑しながら不満を漏らす。
先程の遣り取りからして、この女性は怜生の事を知っているらしかった。

「俺、何かしたんですかね」

気にしてない素振りで聞いたつもりだったが、存外態度に表れていたらしい。
彼女が再び申し訳なさそうな顔をする。

「あれはね。何て言えばいいのかしら」

妹の一番嫌いな言葉をあなたが言っちゃったのよね。
私にもあなたの話を散々聞かせてきたわ。



彼女の言葉であの日の会話を思い起こす。
だが矢張り怜生には思い当たる節がない。
園香と散々考えても結局分からなかった。
今考えても矢張り分からない。

「俺、何か気分を害すようなこと言ったんですかね」

「あなたにその気はなかったけど、妹にとってはちょっと辛い言葉だったかも」

彼女が全てを教えてくれた。





[*前へ][次へ#]

5/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!