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小説という名の日記B(栞機能無し)
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読み:怜生(れお)・理壱(りいち)
・美圃(みほ)
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「ここ空いてる?」

同僚の福冨園香が須々木怜生の前の席を指す。
ごった返す社員食堂。
其処はちょうど二つ席が空いていた。
園香の先輩である久光美圃と昼食を摂りに来たらしい。
美圃とは業務内でしか喋った事がないが、園香とはそれなりに話す仲。
どうぞ、と答えれば、女性二人は空いているその席に座った。

年上の久光美圃は物静かな女性で、会話は専ら園香と怜生で進んでいる。
その会話の流れが恋愛話へと進んでいった。

園香には以前、怜生の恋愛事情を打ち明けたことがある。
だから公の場で話す事でもないと理解している筈。
それでも第三者が居る此処で話してくるのだから、美圃に対し信頼を置いているのだと窺えた。



園香の知る怜生の恋愛事情。
嘗て怜生には恋人がいた。
奥西理壱という名前までは教えていないが、恋人が男だったことは話していた。

理壱は長男だった。
両親の期待を背負っていた。
両親は孫の顔を見たがっていた。
何時か結婚し生まれてくる理壱の子供を楽しみにしていた。
これだけ揃えば、怜生の存在は彼に相応しくなかった。

怜生から別れを切り出した。
同性は結婚が出来ない。
子供も産めない。
怜生自身も何時か結婚し子供を持つ。
だから別れよう。

理壱は反対したが、頑として譲らない怜生を前に最後に言った。
お前の気が変わるのを待っている。
気が変わったら連絡してくれ。
ずっと待ってるから。

それ以来理壱とは会ってない。
そういった諸々の事情を園香には話していた。





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