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小説という名の日記B(栞機能無し)



あいつはゲームでも攻略本通りにする奴だった。
詰まらない現実だとあいつは言う。
だからあいつは仕事を終えると直ぐに帰宅しゲームに没頭した。
他人と触れあうこともせず、遊びに行く事もなく、ひたすらゲームに熱中していた。

あいつ曰わく。
何の意味もない現実を考えるより全然マシだろ。
ゲームの世界の方が楽しいんだ。
攻略本一つで思い通りになる。
満足する結果を得られるんだ。



そんなあいつが恋人を作った。
何時の間にか恋人を作っていた。

不思議な恋人。
あいつの言う事に従い文句も言わない。
とにかくあいつに従順。
喧嘩をしたこともないとあいつが言う。
あいつは恋人に満足していた。

不思議な恋人だ。
そんなあいつの恋人に接する機会があった。
そして分かった。

あいつの恋人はマニュアル人間だった。
何でもマニュアルを見て行動する。
何をするにもマニュアルに従う。
マニュアルがないとどうしていいか分からないらしい。
恋人の中で、あいつとマニュアルは同義語だった。



こういうのを割れ鍋に綴じ蓋と言うんだろう。
本人達がそれでいいなら口を挟む必要もないとは思う。

だけど本当にそれでいいのだろうか。
自分の思い通りに動かせるその愛は幸せなんだろうか。
何の疑問も抱かず従う愛は幸せなんだろうか。

なあ、と俺は俺の恋人に問う。
とても繊細で内気な恋人。
俺は儚げな少年にありったけの愛を注ぐ。
等身大のビスクドール。
大切な俺の恋人。
恋人の世話を焼くのが楽しい。
恋人のしっとりとした肌の感触が心地良い。
最高の恋人を持つ俺は本当に幸せ者だ。

愛してると囁いて、今日も俺は彼の髪を梳いた。
















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