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小説という名の日記B(栞機能無し)
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何で・・・?
アルが呟く。
力の抜けた声で呟く。

ユタの言ったことは本当で、この世界とユタが虚像で。
アルだけが本物で。
何でこんなことになってるんだろう。

それはね。
優しいユタの声。
こんなにも優しい音色なのに、アルは聞くのが怖い。
何を言われるのか怖くてたまらない。

だけどユタは優しく告げる。
何も知らないアルに優しく告げていく。

それは僕が望んだからなんだ。
アルだけが居ればいいと僕が望んだ。
アルに他人を近付けたくなかった。
他人がアルに近付くくらいなら、世界が滅んでも構わなかった。
僕の命を引き換えにしても構わなかった。



ユタはアルに優しかった。
どんな時でもアルを優先してくれた。
困った時にはいつだって助けてくれた。

今だってその声は優しい。
アルの大好きなユタの声。
優しい優しいユタの声。
なのにユタはアルに告げる。

君が此処に来さえしなければ、いつまでも夢の中で幸せでいられたのにね。
アルが好きでアルの為に創った世界なんだから。

これが夢だったなんて。
ユタが創った世界だったなんて。
信じたくない。
信じるしかないのに信じたくない。



このプログラムは君に此処が見つかった時点で、徐々に消去していくように設定してあるんだ。
何故だか分かるかい?

消去したら此処には君しか居なくなる。
何もない世界に君一人だけ。
君の他には誰も居ない。何もない。
そんな世界を創ったのは僕。

だったら君は僕を憎むだろう?
君を一人にした僕を憎むだろう?

ねぇアル、僕は誰の目にも君を映したくない。
だから今まで住んでた世界を壊した訳だけど。
僕が壊したって知ったら君は苦しむよね?
でも君が苦しむとこも見たくないんだ。
だったら君を一人残して僕を憎んで貰った方がいい。
僕を憎んで憎んで、最後まで憎んでほしい。
これは全部僕の我が儘だよ。

こんな気持ち、アルに分かるかい?
たぶんアルには理解できないかもしれないね。





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あきゅろす。
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