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小説という名の日記B(栞機能無し)
2


ユタの言葉を思い出す。
深くて迷うから奥へ行ってはいけないよ。
帰って来れなくなるから絶対に行ってはいけないよ。

なのにアルは奥まで来てしまった。
迷子になってしまった。

ユタが傍に居ない。
アルが困った時にいつも助けてくれるユタが居ない。

心細くなりながら森の出口を探す。

方向が全く分からない。
ただ前に進むだけ。
いつか出口に辿り着く。
そう信じて進んでいく。



出口を探して歩くアルの視界が突然広がった。

木々の途切れた場所。
平らな地面。
その先の切り立った崖。

出口だと喜んだのも束の間、崖を見て気分が沈んだ。
けれども、よく見れば崖に穴が空いている。
アルはほんの少し好奇心に駆られた。

穴と思った場所は確かに穴だった。
だけど思ったよりも大きい。
奥行きもある立派な洞窟だった。



アルは洞窟に入ってみる事にした。
何もないかもしれない。
でも何かあるかもしれない。

洞窟次第では、いざとなれば此処で一泊してもいい。
きっとユタがアルを探してくれている。
下手に動くより、雨露の凌げる洞窟で迎えを待った方がいいかもしれない。

アルはユタが迎えに来てくれると信じている。
アルが困った時にはいつだって助けてくれた。
だから今も帰りの遅いアルを心配して探してくれている筈。



突然視界が開けた。
此処は何?
ぽっかりと空いた空間。
高い天井。
どこかは分からないが、どこかに照明がついている。
微かな機械音。
真ん中に置かれた長方形の箱。
明らかに人工のもの。

本当に此処は何なんだろう。
アルは驚いた。
まるでシェルターのようだった。



アルは箱に近付いてみる。
結構な大きさの箱には一体何が入っているんだろう。

箱の上が透明な物で覆われていて、中が透けて見える。
人間が横たわっているように見えるのは気の所為だろうか。

一歩ずつ近付いて箱の真横まで来た時に、アルはヒュッと息を呑んだ。
喉が張り付いている。
余りの衝撃に声も出なかった。

それはカプセルだった。
カプセルで眠る一体の身体があった。
けれどもその身体は。





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あきゅろす。
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