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小説という名の日記B(栞機能無し)
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映希の顔が一瞬曇ったのは気の所為だろうか。
直ぐに微笑んだから気の所為だったんだろう。

「悩んでる訳じゃないから。でも心配してくれてありがとう」

結局、病院を勧めるのは失敗した。
けれども俺はまだ諦めてない。

映希と一緒に乗り越えてみせる。
少しでも映希の力になってやる。
頑張ればいつか映希に俺の気持ちが伝わる。
そしたらきっと現実に気付いてくれる。
挫けそうになる度に、そう自分に言い聞かせた。



俺が幾ら頑張っても、映希自身が変わろうとしない限り変われない。
映希は現状に満足している。
反対に満足してないのは俺。

満足出来る訳がない。
このままだと映希は一生家に閉じ籠もる。
いつかは社会に出なければならない。
家の中に居て収入を得られるならまだしも、このままだと将来雇ってくれる会社もないだろう。

焦らずいこうと決めていたのに、映希の将来を考えると焦ってしまう。
このままじゃ駄目だ。
何とかしないと。

焦るようになると、つい今まで抱えていた不満が零れるようになる。
小さな諍いが増えるようになった。



「ごめん、今日はちょっと・・・」

連日晴れていて、昨日抱いたばかりだと言うのに、また俺は映希を抱こうとした。
流石に連日は辛いのだろう。
疲労が顔に滲み出ている。

けれどやっぱり我慢できない。
だってそうだろ?
晴れの日は思う存分映希に触れる事が出来る。
まるで俺が汚いものであるかのように風呂場に押し込まれる事もない。
気持ちが萎えて雨の日に抱かなくなった分、今だけでも映希に触れていたい。

そう思うのに映希が嫌がる素振りを見せる。
辛いのは分かってるけど、雨の日に我慢してる俺はどうなるんだ?
いつも映希の為を考えて、何とかしようと頑張って。
そんなの俺だけが頑張ってるじゃないか。





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あきゅろす。
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