小説という名の日記B(栞機能無し)
2
「お腹が空いたな」
今日もまたお話の最中におやつを強請られました。
「ちょっと待っててね。すぐ戻ってくるから、唄でも歌って待っててね」
子ウサギの可愛い我が儘に、小鳥は急いで食べ物を探しに行きました。
子ウサギは小鳥が食べ物を探しに行ってる間、退屈でなりません。
早く帰ってこないかな。
つまんないな。
そんな事を考えていた時です。
茂みからがさごそと音がして、何かが飛び出してきました。
「あっ、お母さん」
「あら坊や、探したのよ。こんな所に居たのね」
子ウサギのお母さんです。
子ウサギは嬉しくてお母さんのもとへ駆け寄ります。
「さあ坊や、お家に帰りましょう」
子ウサギはもっと嬉しくなって、ぴょんぴょん飛び跳ねます。
お家へと帰るお母さんの後を追って、子ウサギも此処から姿を消しました。
食べ物を口に咥え、小鳥が子ウサギのもとへ帰ってきました。
「ご飯だよ。ご飯を持ってきたよ。ねえ、何処に居るの?」
何度呼び掛けても子ウサギの姿が見えません。
白くて小さな子ウサギが現れません。
何処にいったのかな?
退屈だったから何処かへ遊びに行ったのかな?
小鳥は子ウサギがもう戻ってこない事を知りません。
食べ物がないと、戻ってきたとき困るよね。
小鳥は子ウサギの心配をします。
何も言わないで小鳥の前から姿を消す筈はないと、そう信じています。
だから小鳥は毎日食べ物を取りに行きます。
子ウサギがいつ帰ってきてもいいように。
帰ってきた時に困らないように。
毎日食べ物を運んで置いていきます。
今日もまた小鳥は、二度と戻ってこない子ウサギの為に食べ物を探して運びます。
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